熱海ゆかりの造形作家「risa taoka(リサ タオカ)」さんが現在、アートイベント「ATAMI ART GRANT(アタミアートグラント)2024」で作品展示を行っている。
11月2日に開幕した同イベント。期間中、50組の若手アーティストが熱海市内各所で作品を展示している。
アクセサリーや立体作品を手がける作家のtaokaさんが作品を展示するのは、ギャラリースペース「ナギサウラ ハナレ」(熱海市渚町)。「プライベートユートピア」をタイトルに、今回のイベントに合わせて制作したというクレイ(ねんど)を使った立体アート8点やスケッチなどを飾る。
神奈川県出身のtaokaさんは、幼少期から家族の別荘がある熱海をよく訪れていたという。今回の作品も全て、熱海の景色や思い出、好きな飲食店をモチーフに制作した。taokaさんは「当初は、自分にとって楽園だった熱海を『いやしてくれる場所』として描こうとしたが、違和感があった。自分がどこにいてもあった『消化不良』を作品で表現した」と話す。
taokaさんの作品は、紙ねんどに絵の具で色を混ぜながら手で「ウネウネさせて」作る。表面には樹脂を塗って光沢を出す。「子供のころから胃腸が弱くてよく消化不良を起こしていた。この『ウネウネ』の形は、ゲロを表現している。葛藤やもどかしさをゲロで表し、大人の自分がすくい取ってあげることで子どものころの自分をねぎらっている」とtaokaさん。
今年4月にアーティストとして本格的に活動を始めたtaokaさんにとって、同イベントが初の展示会だという。taokaさんは「ゆかりのある熱海で展示をすることになり、作品制作を通して熱海と自分を掘り下げていたら、両親の愛情にたどり着いた。本当は全て栄養にしたかった家族の愛情、楽しい場所を作品にできた」と話す。作品を鑑賞した母親も喜んでいたという。「それぞれの作品にはモチーフになった場所のエピソードを添えている。ほっこりと温かい気持ちになってもらえるとうれしい」とも。
開催時間は11時~18時。金曜・土曜・日曜のみ開場。12月1日まで。