
ハワイ州観光局の前日本支局長のミツエ・バーレイさんを招いた講演会が10月11日、熱海観光局(DMO)のオフィス(熱海市上宿町)で開かれた。
「ハワイの観光戦略と活動方針」をテーマにした同講演会。観光関係者や行政担当者などが参加し、観光と地域の関係性を見つめ直した。
現在はホノルルで同支局シニアアドバイザーとして活動するバーレイさんは、世界的にもDMOの先進地であるハワイの取り組みを紹介し、「観光の持続可能性を考える上で、自然や文化を守ることに加え、住民と旅行者の満足度を高めることが重要」と強調した。
ハワイでは「観光は地域のもの」という考えの下、住民が参加する商品開発や教育プログラムを展開。1987年に5%で導入した宿泊税は段階的に引き上げて現在13.25%で、来年1月には14%になる。宿泊税を財源に、観光プロモーションのほか、自然・文化保全やコミュニティー活動への助成を進めている。
住民と旅行者の満足度を主要KPI(重要業績評価指標)に据え、観光が地域経済に貢献しつつも住民生活を圧迫しない「再生型観光(リジェネラティブツーリズム)」への転換を推進。「渡航者数の増加とともに住民満足度が下がるという課題に直面したが、自然や文化を生かした体験プログラムを通して住民や地元コミュニティーと積極的に関わる姿勢を大切にした」と話す。ハワイ州観光局では観光人材の育成にも力を入れており、小学校での観光教育や企業・ホテルとのCSR連携、エシカル消費に敏感な若年層に向けた発信など、幅広い取り組みを展開している。
バーレイさんは「海と山が近い熱海も、ハワイのように自然と文化が共存するデスティネーション(旅行先)。ハワイの取り組みが参考になれば」と話す。