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「熱海をクレヨン王国ワールドに」 ゆかりの児童文学作家・福永令三さんの功績を発信

記者会見を開いた「クレヨン王国ワールドを広める会」

記者会見を開いた「クレヨン王国ワールドを広める会」

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 任意団体「クレヨン王国ワールドを広める会」が9月17日、旅館「新かどや」(熱海市小嵐町)で記者会見を開き、団体設立の経緯や今後の活動を説明した。

「熱海温泉まんじゅう」をPRする福永桜さん

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 ファンタジー童話「クレヨン王国」は、生前に熱海市に住んだ児童文学作家・福永令三の作品。「クレヨン王国」シリーズは全47巻500万部を超え、1997(平成9)年にはアニメ化され「夢のクレヨン王国」として全国放送された。

 作品には熱海をはじめ伊豆・箱根・富士がモチーフとして描かれる場面が多く登場する。来年は令三さん没後10年の節目を迎えることから、「クレヨン王国」の魅力を発信しようと団体の設立に至った。

 会長には、生前に近所付き合いがあった「新かどや」の鵜沢友美副社長が就き、令三さんの長男・福永柏さんと長女・桜さんと共に結成した。設立に当たり、鵜沢さんは「当館の隣が福永先生の自宅で、出版社との打ち合わせで当館を利用していた。当館もストーリーの中で、スズメのお宿のモチーフとして登場する。全国各地でアニメツーリズムが盛んになっており、その経済効果も注目されている。コロナの打撃を受ける熱海の観光に『クレヨン王国』が貢献できればと、柏さんと桜さんに相談して結成に至った」と説明する。

 令三さんは1928(昭和3)年、愛知県生まれ。早稲田大学在学中に家族と共に熱海に移住した。当初は小説家を目指していたが、童話が川端康成さんに認められたことで作家の道を歩み始めたという。柏さんによると、「父はどこまでも歩く探検癖があり、熱海や伊豆の各地に足を伸ばしてはスケッチをして物語を作っていた」と言う。「作品の中に熱海や伊豆の空気感はあるが、熱海とつながりがある作品だと知らない人が多い。それではもったいないので、モチーフになった場所を訪問してもらうなどして、観光に貢献できれば」と期待を込める。

 今回、同会が地元の駿河物産(小嵐町)と作った「熱海温泉まんじゅう」のパッケージには、アニメ「夢のクレヨン王国」に登場する主人公・シルバー王女をあしらった。パッケージの裏には、モチーフに描かれた「来宮神社」や「熱海サンビーチ」なども紹介する。桜さんは「来年はアニメ放送25周年、父の没後10年に当たる。さまざまな企画で、シルバー王妃が熱海の至る所にいるようにして盛り上げていきたい」と話す。来年3月から、「クレヨン王国ワールド2022」と題し、令三さんの直筆原稿やグッズの展示、スタンプラリーなども計画する。

 今後について、鵜沢さんは「会員を募集して、活動を応援してくれる人を増やしていきたい。『クレヨン王国』は熱海や伊豆の自然を題材にしている。全国からファンを誘客して熱海の観光業を盛り上げ、ゆくゆくはジオパークの伊豆にもエリアを広げて活動していきたい。その先の夢は、クレヨン王国記念館を作ることができれば」と意欲を見せる。

 問い合わせは同会(TEL 0557-83-3311)まで。

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