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【熱海“シン・移住” vol.3】 全国を転々とした20代移住者が熱海の飲食店で勤務して変化した理由

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 人気観光地の一つとして数えられる熱海。都心からの移住先としても人気で、仕事をリタイアした高齢者が老後を過ごす街というイメージが強かった熱海ですが、ここ最近では20~40代の若者やファミリー層の移住も見られます。

 本特集では、「熱海“シン・移住”」と題し、熱海における移住・定住の動き、実際に移住した“シン・移住者”のインタビューなどを数回に分けて紹介していきます。前回は、2017年に東京から熱海に移住した高須賀哲さんを紹介しました。今回は、2022年に熱海に移住した大阪出身の奥出岳豊さんに話を聞きました。

これまでの記事

「熱海“シン・移住” vol.1」新たな移住の動きは「消滅可能性自治体」脱却につながるか?

「熱海“シン・移住”vol.2」移住して結婚、バー経営も始めた40代フリー編集者の熱海生活

飲食店勤務 奥出岳豊さん(24歳)の場合

大阪府岸和田市出身。高校卒業後、語学を学ぶためにオーストラリアに渡る。帰国後は沖縄や北海道などで農業を経験。2022年に熱海に移住。現在、熱海の人気居酒屋「marunowa」に勤務する。

――熱海に移住した経緯を教えてください。

大阪の高校を卒業後、仕事や住む場所を転々としていました。まずは、卒業してすぐにオーストラリアのゴールドコーストで語学を学ぶための学校に通いました。海外での生活を楽しみたいという思いもありました。日本に一時帰国した時にちょうどコロナ禍になり、オーストラリアに再入国できなくなってしまい、結局オーストラリアには1年しかいられなかったのは残念です。

帰国後は農業をやってみたいと思い、沖縄・伊江島の葉タバコ農家や北海道のアスパラ農家などで働きました。静岡・浜松のキャベツ農家には社員として入りました。周りの友人には「大変だからどうせすぐに辞めることになる」と言われていました。「自分はそんなことはない」と覚悟して臨みましたが、結局3カ月で辞めてしまいました。農業の大変さに触れて、農家になることも諦めました。

そんな時に、知人から「メキシコでカメラマンの仕事か、熱海の飲食店で働く仕事を紹介できる」と話をもらい、熱海に行くことを決めました。

オーストラリアで語学を学んでいた奥出さん

――熱海の印象について教えてください。

大阪が長かったので、熱海はどこにあるのかも分かりませんでした。テレビでしか見たことがない街で、温泉と海のある観光地というイメージがありました。

実際に住んでみると、いい意味で田舎町である点が気に入りました。地元の人同士のつながりの強さを感じています。

熱海に移住し、仕事への向き合い方に変化も

――現在の仕事を教えてください。

「marunowa」というフレンチ居酒屋で社員として働いています。2021年に渚町にオープンした店です。自分が熱海に移住した2022年はまだコロナ禍で大変な時期でしたが、店ではランチを始めるなど試行錯誤している中で少しずつ忙しくなっていきました。渚町の再開発で建物が取り壊しになるので、現在は銀座町に移転して再オープンしました。

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2025年1月、銀座町に移転オープンした「marunowa」

――農業から飲食店に移って気持ちの変化はありましたか。

店でいろんな人と出会って、人との結びつきの大切さを知りました。今回の店の移転にもたくさんの地元の人の協力がありました。

地元の業者と協力して移転を進めた

これまでは仕事や旅をしながら全国転々としていましたが、今は熱海に長く住みたいと思っています。飲食店かどうかは決めていませんが、将来的には自分の店を持ちたいと思えるようになりました。

「marunowa」のオーナー・雄基さんには大切なことを日々たくさん教えてもらっています。熱海に来て、「marunowa」が自分を成長させてくれたと思います。

「marunowa」で働き、成長を実感しているという奥出さん

熱海の魅力は住んでいる人の人柄の良さと豊富な自然

――休日の過ごし方を教えてください。

岸和田という土地柄、音楽との距離が近く、レゲエやヒップホップは小学校高学年の時に友達に教えてもらって聴き始め、今でも聴いています。20歳の頃に自分でも本格的に音楽を始め、ライブも開いてきました。最近も制作を続けているので、音楽もゆっくりと頑張っていこうと思います。

仕事の合間に音楽活動も続ける

熱海は、少し行けば箱根や伊豆があり、自然の中で生きていると感じさせてくれるのも魅力です。たまに「marunowa」の仲間と一緒に遊びに行っています。

海と山に囲まれた観光地熱海

――最後に、熱海でお薦めの店を教えてください。

一軒目は、おでんがおいしい居酒屋「延(のぶ)」です。店主のおばちゃんの人柄がすてきで、孫のようにかわいがってくれます。毎日通いたい店です。

もう一軒は「熱海分福(ぶんぶく)」。デザイナー夫婦が経営している店で、センスの良い土産物や雑貨を販売しています。熱海の他の店には置いていない物を売っていて、自分と波長が合います。

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行きつけの居酒屋「延」で

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