
「世界文化フォーラム」の公開収録が5月31日、MOA美術館(熱海市桃山町)能楽堂で行われた。
同美術館が、米国・ハーバード大学、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁との共催により新たに発足した同フォーラム。芸術、科学、スポーツなどの第一線で活躍するゲストを招き、さまざまな視野から日本文化の特質を話してもらう。収録したフォーラムの内容は、多言語化された映像コンテンツとして第1回・第2回に分け、世界に向けて発信する。
公開収録には、一般公募と招待客を合わせて満席の500人が集まり、真剣に耳を傾けた。
第1回の「特別記念講演」は、三笠宮家の彬子さまが「日本美のこころ」と題して講演を行われた。海外でのご経験や自身が創設された子どもたちに日本文化を伝える団体「心游舎」での出来事に触れられ、「日本文化は生活の中に息づいてこそ文化」「伝統は残すものではなく残るもの。今日までその技術が残ってきたのには理由がある。その技術が失われるのにも理由がある。今できることは、大切な日本文化が残るための未来を私たちの力でつくって行くことではないか」などとお話しになった。
続く第2回の「スタートアップ座談会」は、慶応義塾大学名誉教授の河合正朝さんが「日本文化の特異性」をテーマに基調講演を行った後、文化分野の第一人者を招いての座談会を行った。座談会に登壇したのは河合さんのほか、漆芸家で人間国宝の室瀬和美さん、ハーバード大学教授のリピット・ユキオさん、同美術館館長の内田篤呉さん。各登壇者は、芸術・学術・国際的視点を交えて、日本文化の本質や現代社会における役割について語り合った。