環境まちづくり会社「未来創造部」(熱海市渚町)が9月10日、創立1周年記念「オンライントークライブで振り返るこの1年、そして未来へ!」を開いた。
「未来の子どもたちにきれいで楽しい地球を残す」ことをミッションに掲げる
昨年9月10日に枝廣淳子社長と光村智弘副社長が設立した同社。枝廣さんは国内外で環境問題への取り組みや環境関連の著書の執筆、翻訳などを行う。光村さんは熱海を拠点にマリーナ事業や海洋保全活動を行ってきた。同社は「未来の子どもたちにきれいで楽しい地球を残す」ことをミッションに掲げ、さまざまな環境問題に取り組んでいる。
オンラインライブでは、同社の1年間の活動をスライドショーを使って枝廣さんの解説で振り返った。トークイベントは熱海経済新聞の磯部洋樹編集長がインタビュアーとして加わり、2人とトークセッションを行った。光村さんは「1年を振り返ると、環境問題の活動やイベント、研修、被災地支援など非常に多くのことに取り組んだ。『やりすぎでは』という声もあったが、やるべきタイミングだからこそ実行した。2年目につながる活動ができた」と振り返る。枝廣さんは「現場をよく知る光村さんと活動することで、自分が頭で描いてきた理論を環境問題の解決のために落とし込むことができた。今後さらに行政や企業とも連携して地域課題の解決に向けて活動していきたい」と語った。
同社が推進する河川から海に流出するプラスチックゴミを収集する取り組み「プラキャッチプロジェクト」は、昨年12月に放送された情報番組「出没!アド街ック天国」の熱海特集で紹介され、7位にランクインした。4月には市民参加型フリーマーケット「くるくるフリーマーケット」を初開催。熱海市民の年間のゴミの排出量は1人当たり1745グラムに上り、全国平均の約2倍に当たるという。光村さんは「徳島県上勝町の取り組みがモデル。熱海のゴミ問題を市民が考えるきっかけにしたい」と話す。
5月には、元パタゴニア日本支社長で環境活動家の辻井隆行さんを招いたセミナーを開催した。環境や地域課題を考える「未来創造サロン」の一環。枝廣さんは「企業として環境問題にどう取り組むかも重要なテーマの一つ」と話す。熱海は旅館や飲食店など事業者が出すゴミや観光客が持ち込むゴミの量も多く、今後は市内の事業者や団体とも連携してゴミ問題に取り組んでいく予定だという。
フードロスを減らす取り組みとして、宇田水産(桜町)と連携して活動した。売り物にならない「未利用魚」を商品化する取り組みや、コロナ禍で休業する旅館や飲食店が増えたことで行き場を失った魚をオンラインショップで消費者に届ける活動を展開。ブルーカーボンや藻場の再生による漁業支援など「ブルーカーボンプロジェクト」もスタートし、海洋問題にも積極的に取り組んでいくという。
今後について、枝廣さんは「伊豆山の災害支援活動も継続していく。多くの人のサポートや叱咤(しった)激励があって1年間活動することができた。光村さんやスタッフらと共に、『未来の子どもたち』につなぐ活動を継続していきたい」と意気込みを見せる。