熱海で現在、働き手を確保しようと「リゾートバイト」を使う動きが活発化している。
リゾートバイトの求人サイト「リゾートファイン」を運営する「ファインコミュニケーションズ」(東京都千代田区)熱海営業所長の鹿島隆介さんによると、高齢者が多く若者の雇用に悩む熱海の宿泊施設や飲食店では以前から、リゾート地に住む込みで働く「リゾートバイト」を積極的に導入する施設が多いという。
「働く側からすると、住み込みのため家賃や食費、光熱費がかからず、生活費を抑えて働くことができるというメリットがある」と、鹿島さん。仕事が休みの日は、リゾート地ならではの観光やアクティビティーを楽しめることも魅力の一つ。受け入れる施設としても、人手が集中して必要な繁忙期に働き手を確保し、閑散期は人件費を抑えた経営をすることができる。社会保険などのコストは、派遣側の事業者が負担するため、施設の事務処理も簡易で済むという。
同社は4月、熱海に営業所を開設。熱海を拠点に伊豆や箱根エリアをカバーする。鹿島さんは「以前から熱海の施設には働き手を提供していたが、施設に対してより迅速に対応できる体制を取りたかった。2年前から熱海でレンタサイクル事業を運営していることで地域への理解もあった」と話す。
「熱海市内の施設からの求人問い合わせが急増している。コロナ前と比較しても1.5倍ほど増えている。どの施設も繁忙期に向けて人の確保に動いている状態」と言い、「問い合わせが多い業種は宿泊業。ゴールデンウイークの集客がかなり良かったため、夏の予約状況を見て、手遅れにならないように先行して募集をかけている」と話す。
同社によると、現在の熱海市内のリゾートバイトの時給相場は1,100円~1,500円というが、今年はさらに上がる傾向にあるという。「施設にとっては経営負担につながるため、リゾートバイトから通常雇用に移そうという動きもある。ただ、リゾートバイトで働く人にとっては、好条件で全国のあらゆるリゾート地で働くことができるため、長くリゾートバイトを続ける人も多い」という。
鹿島さんは「人気の勤務条件は、食事2食付き、大浴場に入れること、通し勤務であること。熱海は温泉大浴場が人気理由の一つ。熱海は働き手にとっても魅力的な施設が多い。市内の施設によっては、10人、30人必要というところもあるが、熱海に拠点を置く会社として要望に対応し、観光地・熱海の発展をサポートしていきたい」と話す。