企画展「北斎 富嶽三十六景」が10月1日、MOA美術館(熱海市桃山町)で始まった。
江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849)の「富嶽三十六景」は、当初刊行された36図に追加制作された10図を合わせて全46図で構成。今回の企画展では、「富嶽三十六景」全46図を公開する。
富嶽三十六景は、富士山を望むさまざまな場所で描かれた浮世絵風景版画。当時の人々の暮らしと共に、描かれた場所や季節によって多様な富士山の姿が表現されている。特に「北斎ブルー」と呼ばれる、人工顔料「ベロ藍」による透明感のある青い色彩や独創的な構図は「富嶽三十六景」の特徴とされる。
中でも「三役」と呼ばれる3作品は有名。グレート・ウェーブとして国内外に知れ渡る「神奈川沖浪裏」、鮮やかな朱色に染まる山容から「赤富士」とも呼ばれる「凱風快晴」、赤富士とは対照的な図で「黒富士」と称される「山下白雨」は、北斎の代表作として親しまれている。
同館広報担当者は「富嶽三十六景が実は46図あることはあまり知られていない。今回はその46作品を全て一度に公開している貴重な展示会。さまざまな富士山の姿とともに、当時の人々の暮らしの様子にも注目して欲しい」と話す。「鮮やかな北斎ブルーを、実際の目で見ていただけたら」とも。
開館時間は9時30分~16時30分。木曜休館。11月10日まで。