熱海在住の剣道家・藤本綾芽さんが4月、熱海に少年剣道団体「心芽(しんめ)会」を立ち上げた。
現在27歳の藤本さんは、剣道専門誌「剣道日本」の連載やテレビ番組「剣道女子」に出演するなどして全国的に有名な剣道家。藤本さんのSNSは約2万人のフォロワーがいる。幼少期に出身地の兵庫県で剣道を始め、剣道歴22年、剣道4段の腕前。昨年5月に仕事の関係で長野県から熱海に移住した。
現在、南熱海マリンホール(熱海市下多賀)と函南町体育館で小学生と中学生を対象に指導をする。立ち上げた同団体には、1月に解散したという剣道少年団に所属していた子どもたちを受け入れ、同体育館で稽古に打ち込む。
団体立ち上げの経緯について、「熱海にも昔から剣道の少年団体はあるが、人口減少や高齢化で剣道を習う子どもが減っている。自分の経験や知名度、つながりを生かして、熱海も含めて近隣地域の剣道を盛り上げていきたいと考えた」と藤本さん。「剣道を続けたい子どもたちの居場所を作りたかった。呼びかけによって防具や寄付も集まり、剣道に打ち込める環境を整えることができた」と話す。今年度は熱海市スポーツ少年団への加入も目指しており、熱海中学校体育館での指導も予定しているという。
7月には、南熱海マリンホールに全国の剣士を集め、「菖蒲稽古会」を開く。昨年10月に初めて開いて以来、4回目の開催になる。過去3回には、全国から延べ450人が参加した。藤本さんは「有名な剣道家や実力者をゲストに招き、剣道教室や交流を図る。熱海や近隣の子どもたちにも参加してもらい、剣道の輪を広げたい」と話す。
心芽会で藤本さんと共に子どもたちの指導に当たる橘栄一さんは、剣道教士七段の実力者。「自分も礼儀作法を学ぶために子どもの頃に剣道を始めた。同じように礼儀作法やあいさつを身に付けることも含めて、楽しく剣道に取り組んでもらいたい。藤本さんの下で、子どもたち、保護者、指導者が同じ方向性で稽古ができている」と話す。藤本さんも「コロナ禍を経験したことで、しっかり声を出せなかったり、人とのコミュニケーションがうまく取れなかったりする子もいる。剣道を通して、自己肯定感を持てる子どもが増えればうれしい。心芽会が子どもたちの居場所になれれば」と期待を寄せる。