熱海の「ACAO SPA & RESORT」(熱海市上多賀)が9月7日、不動産投資クラウドファンディング(CF)サービス「COZUCHI(コヅチ)」を活用した熱海の地方創生プロジェクトの発足を発表した。
熱海に眠る土地や建物など未流動資産の現金化とその資金で熱海の地域活性化を目指す同プロジェクト。第1弾として9月10日、不動産投資CF「熱海 ACAO FOREST Parking プロジェクト」をコヅチで始めた。資金調達額は5.4億円を予定。調達した資金は、ACAO SPA & RESORTが運営する観光庭園「ACAO FOREST」や「ACAO BEACH」のリニューアル、新施設の建設、コンテンツ創出などに活用する。
ACAO SPA & RESORTは、ACAO FORESTやACAO BEACHなどリゾート事業と65万平方メートルの所有地を生かした不動産事業を展開する。今回のプロジェクトでは、ACAO FORESTの有料駐車場を、コヅチを運営する「LAETOLI(ラエトリ)」(東京都港区)が購入して駐車場収入を配当原資としてファンド化する。希望者は1口10万円から投資に参加できる。
同日開いた記者会見で、ACAO SPA & RESORT CEOの中野善寿さんは「観光による地方創生ではなく、長く続く文化などによる創生をやるべき。熱海の環境や風景、空き物件の多さなどから、コヅチの仕組みで新たな創生がスタートできて目的が達成できると感じた」と話す。
LAETOLI社長の武藤弥さんは「築年数が古い物件や地方郊外の物件など金融機関が取り組みづらい案件を対象にしてきた。今回の駐車場の土地も価値が上がれば周辺の価値も上がり、中長期的に地方創生に貢献できる」と話す。
プロジェクトがもたらす価値について、「少額でも自分のお金を投資することで熱海や地方再生への意識が変わる。多くの人に関心を持ってもらえることにコヅチの仕組みが使える」と中野さん。武藤さんは「街に暮らす人が当事者意識を持って参加するのが理想。今回のプロジェクトも数百人が参加するだろうが、街の再生に関心を持つステークホルダーが増えることが街の力になる」と力を込める。
プロジェクトには、中野さんが代表を務める東方文化圏の芸術活動支援などを行う「東方文化支援財団」(東京都千代田区)も連携する。今後、ACAO FOREST周辺の開発計画においても3者が連携して資金調達や施設・土地開発を進め、地域経済の活性化を目指すという。