
MOA美術館(熱海市桃山町)で現在、展覧会「蔦重(つたじゅう)の眼(め) 歌麿・写楽と浮世絵黄金時代」が開かれている。
現在NHKで放映中の大河ドラマ「べらぼう」に登場する主人公の蔦屋重三郎、通称「蔦重」にちなんだ作品を展示する同展。蔦屋は版元(現在の出版社)として喜多川歌麿や東洲斎写楽など、世界的にも有名な多数の作家を見出し、「江戸のメディア王」と呼ばれている。
展示する作品77点のうち、蔦屋が版元の作品は20点。同館2階では主に歌麿の作品を、1階では写楽の作品を展示し、大スクリーンで浮世絵の紙や刷りの質感が分かる映像を上映する。
同館広報担当者は「浮世絵の美人画は全身像を描くことが一般的だった時代に、人物の顔をクローズアップした『美人大首絵』を歌麿の作風としたことで、蔦重は浮世絵文化の立役者の一人となった。歌麿の『当世踊子揃 石橋(とうせいおどりこぞろい しゃっきょう)』は1枚しか刷られていない版画作品で、約30年ぶりに公開される貴重なもの」と話す。「浮世絵以外にも蔦重がプロデュースした戯作(げさく=物語)、蔦重の交友関係が伺える掛け軸や狂歌など、大河ドラマともつながる蔦重の活躍を知ることができる展示となっている。蔦重が人と人をつなげて次々と作品が生まれていった経緯を感じてもらえたら」とも。
同時期開催の「夏祭り」では、版画スタンプラリーを企画。館内5箇所に設置されたスタンプを押して版画のように5つの色を重ねることで、蔦屋とも交流のあった葛飾北斎の「富嶽(ふがく)三十六景」の絵が完成する。
開館時間は9時30分~16時30分。木曜休館(8月14日は開館)。観覧料は一般=2,000円ほか。9月9日まで。