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【熱海・スナックと私 vol.9】 「宇田水産」社長・宇田勝さん(後編:さんかふぇ)

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 特集「熱海・スナックと私」では、市内の経営者にお薦めのスナックを紹介してもらいながら、これまでの人生やこれからの経営ビジョンなどを伺います。聞き手は、熱海経済新聞副編集長でボイストレーナー「たーなー先生」としても活動する田中直人です。

 これまで、江戸時代から160年以上続く老舗干物店「釜鶴」5代目の二見一輝瑠(ひかる)さん、1806年創業の老舗温泉宿「古屋旅館」17代目の内田宗一郎さんに話を伺いました。今回は、「宇田水産」社長の宇田勝さんにインタビューしました。宇田水産の社長を務めるほか、熱海魚市場の代表や熱海第一ビルの役員を務める宇田さん。3回に分けて、宇田さんのこれまでの取り組みや思いについてお伝えします。

これまでの記事

特集【熱海・スナックと私 vol.1~8】

――3軒目に選んだスナック「さんかふぇ」について、店を選ばれた理由を教えてください。

宇田 スタッフのひかりさんがいるからです。うちの食堂や魚市場の土曜市でも働いてくれているので、「さんかふぇ」を応援しています。

宍戸さん夫婦が切り盛りする「さんかふぇ」

――宇田さんの描く熱海の未来、宇田水産の未来を教えてください。

宇田 個人的にやりたいと思っているのは、商売抜きで自分で魚料理を作って提供する飲食店です。今の熱海は観光客が多く来てくれて右肩上がりですが、いつまで続くか分からない。そうなった時に生き残れる店は、観光客目当てではなく、地元の人に支えられている飲食店です。1,000円以下でランチが食べられるような店が生き残れると思います。

直営の「まぐろや」は8割が観光客ですが、地元の人のために開いた店です。海鮮丼は600円から提供しています。旅行会社の人からは、「熱海のランチは2,000円でいいんだから宇田さんの店も値上げしなさい」と言われますが、違うんです。観光客目当ての店ではないので。観光の閑散期には地元の人が来てくれます。そういう地元の人に支えられている店でありたいと思っています。

「未来」を語る宇田さん

――続けている活動、これからも続けていきたい活動はありますか。

宇田 川崎のフリースクールに190人分の食事を送るフードバンクの活動を続けています。元々、熱海でフードバンクを立ち上げようと考え、川崎のフードバンクに支援しながらやり方を学ぼうと思ったのがきっかけです。魚と一緒に動画も送って魚のさばき方を伝えていました。初めて施設を訪れた時には、とても歓迎してくれました。一緒にアジを開いてアジフライを作ったところ、1カ月後にわざわざ熱海に来てくれた家族もいました。「今まで何やっても自信がない子だったけど、魚をさばけるようになって家で喜んでいた」ということを報告しに来てくれたのです。

私自身も子どもの頃に食事に苦労した経験があります。母子家庭では、親が食費を削減しているという現実も見聞きしています。熱海でも子ども食堂や就労施設に海鮮丼の無償提供やマグロ解体ショーを行っていますが、このような活動は継続していきたいと思います。

地域貢献活動を続ける宇田さん

――宇田水産の未来を教えてください。

宇田 宇田水産の未来は息子に託しています。息子には好き勝手やってくれればいいと思っています。息子の代で会社をつぶそうがつぶさなかろうが、好きなようにやってほしいです。

熱海の未来は、やはり地元に愛されている飲食店が生き残ると思います。今はやっている店、観光客に頼られている店は、どのようになっていくのか楽しみです。特に「おさかな食堂」系列は、どのように展開していくのか期待を持って見ています。

――宇田さん自身の夢はありますか。

宇田 若い時は丹沢に移住して釣りをしながら老後を楽しみたいと思っていましたが、今はずっと熱海にいたいと思っています。海外旅行をしたいとも思っていましたが、今は国内旅行に妻と行きたいです。

――最後に、宇田さんが好きな熱海の魚料理の店を教えてください。

宇田 最近では、「豊(ゆたか)」がおいしかったです。どこの魚屋から仕入れているかは分かりませんが、恐らく熱海の地魚を使っていると思います。職人さんの腕も良いですし、値段もリーズナブルで、とても良い店だと思いました。後は、起雲閣近くの「ゆうやけ」もいいですね。地元の人しか行かないような居酒屋ですが、サバのみそ漬けやイカの生干しなど、店のお母さんが作る料理がおいしいです。意外にサンマーメンやギョーザもお薦めです。

干物屋では「釜鶴」ですね。「熱海だいだいサクラマス」を年間2トンくらい買っていますし、作っている干物の量もとても多いです。「山六ひもの店」のアブラボウズのみりん干し、網代の「小澤(こさわ)商店」のサバの黒こしょうみりん干しも、とてもおいしいです。

――熱海の干物は全国的に見てもおいしいと有名ですね。熱海の干物を世界にアピールする企画ができたら面白いと思います。3軒のスナックを回りながら宇田さんの過去から現在、今後の展望を伺いました。ここまで、ありがとうございました。

居酒屋のような雰囲気を楽しめる「さんかふぇ」

宇田さんお薦めのスナック「さんかふぇ」について

開業 2014(平成26)年9月9日

店主 宍戸大祐さん

席数 9席

営業時間 20時~翌2時

住所 熱海市中央町9-7

電話 090-6383-3636

「さんかふぇ」は、牛すじやモツ煮など、店主手作りの料理が人気のスナック。店主の妻・ひかりさんと一緒に切り盛りしています。

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聞き手 田中直人

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