熱海・伊豆山で青果店「イワモト」(熱海市桃山町)が9月8日、水曜限定で野菜などの移動販売を始めた。土石流災害で被害を受けた伊豆山地区の住民の生活を支援しようと、住民の声を受けた熱海市内の事業者らが現在、生活支援の動きを見せている。
土石流災害により熱海市道伊豆山神社線が分断されたことで運行中止が続いていた東海バス「伊豆山循環~熱海駅線」は9月1日、一部運行を再開した。岸谷地区の熱海駅側と仲道側は路線バスにより分断は解消されたものの、一般車両や人の通行はできず、生活者にとっては不便な状況が続いている。
熱海駅近くの青果店「イワモト」は毎週水曜、岸谷バス停近くの駐車場に販売車を止め、15時から1時間ほど野菜や果物、卵などの食品を販売する。地域からの要望を受けて販売を決めたという店主の岩本英利さんは「親族や知人も土石流で被災した。まだ避難生活から戻って来られない人もいるが、戻って来ている人の少しでも助けになれば」と話す。
販売初日の8日は、野菜のほか、ナシやクリなど旬の味覚も多く車に詰め込んだ。岩本さんは「買いに来ても数人だろうと予想していたが、販売開始からすぐに20人くらいが買いに来られた。必要とされていることを実感した」と話す。
同駐車場では毎週火曜、セブンーイレブン熱海中央町店の移動販売車も日用品や弁当、冷凍食品などの販売を行っている。車など移動手段を持たない高齢者も多く、販売事業者らの支援が生活に不便な状況が続く住民にとって無くてはならない存在となっている。