熱海の環境まちづくり会社「未来創造部」(熱海市渚町)が11月3日、「ブルーカーボンネットワーク設立シンポジウム」を開いた。
横浜の活動を説明する一般社団法人里海イニシアティブ理事の富本龍徳さん
同ネットワークはブルーカーボンや藻場再生、ブルーカーボン関連の技術を開発・販売する企業、団体、行政などをつなぐ会員制度を構築し、情報を共有する場を作ろうと同社が設立。3日のシンポジウムにはオンラインで約200人が参加した。
同社は昨年から熱海を拠点に本格的にブルーカーボンプロジェクトを始動。藻場の再生による漁業支援や新たな観光資源づくり、海藻によるマイクロプラスチック除去の実験などを進める。6月には、海草のコアマモを土肥から熱海の海域に移植。現在、成長の経過を観察している。
同社の枝廣淳子社長は会の冒頭で「熱海に限らず全国各地で海の生態系の問題が叫ばれている。ブルーカーボンについては世界各国で研究が進められている。国内でも横浜をはじめとする各地で企業や団体が活動しており、情報や技術を共有して一緒に活動していければ」と呼び掛けた。
光村智弘副社長は熱海での活動を報告した。6月のコアマモの移植に加えて、10月には下田からカジメを熱海の海域に移植。許認可の難しさにも触れ、「環境、漁業支援に加え観光、環境教育の活動状況もネットワークを通じて共有していきたい」と話した。
各地の取り組み発表では、奄美大島の瀬戸内町で活動するオーシャナの河本雄太代表が観光産業と水産業の両立を目指すコアマモによる藻場再生プロジェクトを説明。横浜からは一般社団法人里海イニシアティブ理事の富本龍徳さんが二酸化炭素の吸収量が多い昆布養殖による温暖化対策の取り組みを発表し、昆布をさまざまな食品開発に生かしている活動について紹介した。
未来創造部は現在、11月2日に立ち上げたクラウドファンディングでブルーカーボンの取り組みを進めるための資金を募っている。集まった資金は、情報発信のためのホームページの構築のほか、セミナー開催や環境教育活動の費用などに充てるとしている。募集は12月15日まで。