熱海で実験スペース「ハコスコカフェ」(熱海市伊豆山)を運営する夫婦が5月22日、書籍「脳と生きる 不合理な〈私〉とゆたかな未来のための思考法」を河出書房新書から刊行した。
著者は、医学博士・脳科学者の藤井直敬さんと妻の太田良けいこさん。藤井さんは、東北大学特任教授やデジタルハリウッド大学大学院教授などを務め、VR(バーチャルリアリティー)技術を使ったサービスの開発を手がける会社「ハコスコ」を経営する。太田良さんは、PayPal、eBay、Tesla、Amazonなどの先端テクノロジー分野の日本事業の立ち上げを担ってきた経歴を持つ。
2人は数年前に熱海・伊豆山に移住。2021年6月、自宅近くにあった廃屋を改装し、現実科学の実験空間「ハコスコカフェ」をオープンした。カフェは、コーヒーを提供するが営業は不定期で、藤井さんの活動やサービス開発の拠点として活用している。
同書籍は、人の脳の特性や現実科学についてがテーマ。藤井さんは「人の社会性の研究をしているが、昔から太田良さんは、起こる問題を上手に解決している。その方法を言語化して、役に立てればと思った」と、出版に至った経緯を話す。
書籍では、不合理な脳の特性による振る舞いを「ブレインくん」という別人格に置き換え、漫画やエピソードを交えて脳の取り扱い方法を解説する。太田良さんは「ブレインくんの存在を意識し、脳の特性がゆえの行動ということを理解することで、人との関わり方が見えてくる」と話す。
研究テーマである「現実科学」についての話をまとめた藤井さんは「フェイクニュースのような誰かに意図的に操作されたことに惑わされないことが大切。現実世界を豊かに生きるためのヒントになれば」と話す。
書籍刊行に合わせて、同店で「脳と生きるコーチング」を始めた太田良さんは「脳の特性を理解した上で、経営や人生での問題解決につながれば」と話す。藤井さんは「本は万人向けの内容だが、特に人の上に立つリーダーには読んでもらいたい」と呼びかける。