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熱海の国重要文化財「旧日向家別邸」、再公開迫る 保存工事が完了

世界的建築家ブルーノ・タウトが手がけた「旧日向家熱海別邸」の地下室

世界的建築家ブルーノ・タウトが手がけた「旧日向家熱海別邸」の地下室

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 熱海の「旧日向家熱海別邸」(熱海市春日町)の一般公開が8月27日、始まる。これに先駆け19日、報道関係者に向け内覧会が行われた。

女萩を使った簀戸はあえて修繕(左)と現存を残した(右)(関連画像12枚)

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 旧日向家熱海別邸は、アジア貿易で活躍した実業家・日向利兵衛が1934(昭和9)年から1936(昭和11)年にかけて建てた。上屋は東京・銀座の和光などを手がけた渡辺仁が設計。地下室はドイツの世界的建築家ブルーノ・タウトが設計した。2004(平成16)年に熱海市が取得し、2006(平成18)に国重要文化財に指定されていた。

 修繕のため2018(平成30)年から保存修理事業を行い休館していたが、このほど工事が完了した。

 保存工事は、建物全体の耐震補強、雨漏りの防水工事、地下室の修理を中心に、公益財団法人文化財建造物保存技術協会が設計監理を、清水建設静岡営業所が工事を、それぞれ行った。総事業費は約3億円。

 タウトが手がけた地下室は、主に社交室、洋風客間、日本間から成り、窓からは相模灘に浮かぶ初島を望める。社交室には105個の電球が曲線を描いて取り付けられている。ガイドの太田隆士さんは「曲線の電球、直角板張りの床、天井の斜めの板張りが相まって、ダイナミックな視覚的印象を表現している」とタウト建築の特徴を説明する。

 女萩(めはぎ)を使った簀戸(すど)は、国内でも珍しくなったという京都の職人が補修した。太田さんは「工芸品のようなもの。元が残せるものはできる限り残して修理した」と話す。

 見学は人数を制限した完全予約制で、熱海市のホームページで受け付ける。18日現在、既に130件の申し込みがあるという。

 開館は水曜・土曜・日曜・祝日の9時~17時(シフト制)。料金は、大人1,000円(市民750円)、中高生700円(同550円)。

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