そば店「二代目 喜代次」(熱海市下多賀)が12月1日、グランドオープンした。
2017(平成29)年4月に熱海に移住した伊藤伸二さんが経営する同店。現在61歳でシステム開発会社も経営する伊藤さんは、55歳の時に一度仕事をリタイアして「土地勘があった」という熱海に移り住み、築60年ほどの古民家をDIYして自宅にした。近くの畑を耕したり、森林保全団体「熱海キコリーズ」に所属して木こりとして活動したりと、自身が自然や地域とつながれるようにする取り組みを行っている。
そば店開業の経緯については、「今春、山梨の農業法人を引き継いだことがきっかけだった」と振り返る。引き継いだ約400坪の農地でソバの栽培を始めた。「ソバは育てやすく、収穫までの期間も短い。8月に種をまいて10月には初収穫できた」と話す。一方で、収穫したソバの実を粉にして売り物にするには手間がかかり、売価も低いことが分かったという。「偶然にも農業法人が使っていた倉庫にそば打ちの道具などもあり、これは自分にそば屋をやれということだろうと、店を開くことに決めた」と話す。
そば店を開くためにそば打ちの学校に通って技術を学んだが、手打ちを習熟するにはかなりの時間が必要になると気づいたという。「いろいろ調べてみると、まるで名人が打ったようなそばを作れる製麺機と水回し機があったので導入した。手では打てないようなコシのある十割そばを作ることができた」と話す。
自家栽培のそば粉を店で使うのはこれから。現在は北海道産や会津産などを使う。メニューは、生ワサビとあえる「塩そば」、磯のりと削り節をかけた「海苔(のり)そば」、信州産ネギを添えた「鴨つけそば」の3メニューをセットにした「そば三昧(ざんまい)」(1,100円)のみ。ゆでたてで順々に提供する。
店は、自宅の一部を自ら改装。席数はカウンター=6席。要予約。予約はLINEで受け付ける。既に口コミや再来店の客が予約してくれているという。今後については、「1人で運営する店なので、ゆっくりと自分のペースで営業しながら地域との縁を作っていきたい」と話す。「大切なのは十割そばをいかにおいしく食べてもらうか。試行錯誤しながらおいしい食べ方や組み合わせを増やしていきたい」とも。
営業時間は11時~15時。