熱海が現在、特に力を入れているのが「ワーケーション」です。聞き慣れた言葉になってきましたが、ワーケーションとは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語。コロナ禍を挟んでも、この数年は順調に発展を続ける観光地としての熱海が、なぜ今、ワーケーションに力を入れているのでしょうか? 数回に分けて、熱海でのワーケーションの動きやワーケーション施設を紹介していきます。
これまでに、熱海の特徴的なワーケーション施設として、アート作品に触れられる「キュレーションホテル桃山雅苑(ももやまがえん)」、ベンチャー・スタートアップ企業が頻繁に利用している宿泊施設「熱海の隠れ里」、旧網代小学校を活用した交流拠点「AJIRO MUSUBI(あじろむすび)」などをリポートしました。今回は、創業200年の老舗温泉宿「古屋旅館」でのワーケーションを紹介します。
これまでの記事
「Second Lobby 書ヲ読ム旅人」は2022年4月、創業200年を超える熱海の老舗温泉宿「古屋旅館」離れ棟にオープンしたスペースです。宿泊者専用のこのスペースでは、落ち着いた環境の中で仕事や読書をして過ごすことができます。
歴史ある温泉やこだわりの食事、熱海の魅力を詰め込んだ宿泊体験ができる同館。旅館の周辺には、熱海ならではのグルメや体験スポットも充実しています。「Second Lobby」を利用した老舗旅館が提案する新しい旅の形を紹介します。
古屋旅館の離れ棟にある「Second Lobby」
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「Second Lobby 書ヲ読ム旅人」は、客室や温泉とは異なる「第二のロビー」としての役割を持つスペースです。約100平方メートルの広さがあり、ソファ席やカウンター席など、ゆったりとくつろげる20席を用意しています。開設の背景について、古屋旅館の内田宗一郎社長は「当館は家族やグループの宿泊客が多く、『Second Lobby』ができるまでは空き時間に一人でフロント脇のロビーでパソコンを広げて仕事している姿をよく見かけました。企業経営者や30~40代の働き盛りの人が落ち着いて仕事に集中できる場所を作りたいと思い、『Second Lobby』を開設することにしました」と話します。高級温泉旅館で「Second Lobby」のようなワークスペースを提供している施設は少なく、利用者にとても喜ばれているそうです。
モダンでカラフルなデザインを採用した店内
空間デザインには、日本の伝統的な美しさと北欧のシンプルなスタイルを融合させた「Japandi(ジャパンディ)」を採用。内田社長が「あえて旅館とは真逆な雰囲気を演出した」と話すように、太陽の光が差し込む大きなガラス張りの空間は、モダンでカラフルなインテリアを配した明るい雰囲気が特徴といえます。バング&オルフセン製スピーカーから流れるBGMや、熱海産ダイダイなど月ごとに変わるオリジナルアロマの香りが、心地よいひとときを演出します。
オリジナルアロマの香りが心地よい
本棚には熱海にまつわる書籍や、話題のベストセラーが並びます。内田社長が自ら選書し、2カ月ごとに新書を加えているそうです。「30~50代が好みそうなベストセラーを中心に、若者や女性向けの本もそろえている」と内田社長。旅の途中で知的好奇心を刺激することができます。
ビジネス書を中心にそろえた書棚
利用者に向けて、高速Wi-Fiや有線LANを完備。オンライン会議や集中作業向けに1人用の防音個室が3室、10人まで利用可能なカンファレンスルームも用意されています。防音設備やコンセントの位置に至るまで、細かいところにも使いやすさへのこだわりを追求したそうです。
1人用の防音個室を3室備える
企業の研修や会議にも対応可能で、熱海の自然を感じながら、チームの結束を深めたり、クリエーティブな発想を生み出したりする環境が整っています。個人でのテレワークにも最適で、温泉でリフレッシュしながら仕事に集中する、新しい働き方を実践できます。
会議に適したカンファレンスルームも
無料のドリンクサービス(コーヒー、ジュース、お茶など)も提供しており、リラックスしながら作業を進めることができます。スペースは宿泊者専用のカードキーで入室管理されているので、セキュリティー面でも安心です。さらに、低濃度オゾン装置の設置や入室人数の制限など、感染症対策にも配慮されています。
「Second Lobby」は、宿泊者であれば無料で利用可能です。営業時間は、7時~11時、15時~21時30分。歴史ある旅館で温泉とともに、落ち着いた空間で仕事や読書を楽しむ。そんな新しい旅のスタイルを、古屋旅館で体験してみてはいかがでしょうか。
落ち着いた空間で仕事や読書を
仕事モードをリセットできる旅館としての滞在環境も整っています。古屋旅館では、全室が和の趣を大切にした造りになっており、一部客室には客室露天風呂が備えられています。温泉は同館が単独所有する名湯で熱海七湯の一つ「清左衛門の湯」をかけ流しで楽しむことができます。
食事は、老舗旅館ならではの京風懐石料理を提供。旬の食材をふんだんに使い、料理長が一品一品丁寧に仕上げています。キンメダイの煮付けや地元の新鮮な魚介類を味わいながら、ぜいたくな時間を過ごせます。
自家源泉をひいた客室露天風呂
同館があるのは熱海の中心地。「Second Lobby」でワーケーションや読書を楽しんだ後は、熱海ならではのグルメやショッピングを楽しむこともできます。近くには、古屋旅館が手がけるスイーツ店が2店舗あります。
熱海銀座商店街にある和栗スイーツカフェ「和栗菓子kiito-生糸-」は、熊本県上益城郡産の和栗を使い、栗そのものの甘さを生かした「生糸モンブラン」や「和栗と季節の果物のパフェ」などを楽しめます。特に、目の前で仕上げる搾りたてのモンブランは、ふわっとした口溶けが特徴。フレンチレストランをほうふつとさせる店内で、ワーケーションの合間に甘いひとときを過ごせます。
和栗スイーツカフェ「和栗菓子kiito-生糸-」
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熱海駅近くにあるラグジュアリーパフェ専門店「Maison de Parfait 十全十美(じゅうぜんじゅうび)」は、静岡県産フルーツや専用工房「十全十美ラボ」でパティシエが作るパイやジェラートを使ったパフェを提供しています。カクテルやモクテル(ノンアルコールドリンク)には、伊豆名産ニューサマーオレンジや熱海産梅酒など地域の特産品を使い、ペアリングドリンクにもこだわっています。
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歴史ある温泉旅館のくつろぎと、街歩きの楽しさを組み合わせて、新しい熱海の魅力を体験してみてはいかがでしょうか。
古屋旅館