全室温泉付きの温泉宿「SOKI ATAMI(そき・あたみ)」が11月1日、「熱海の奥座敷」と呼ばれる熱海市小嵐町にオープンする。経営は、「MUJI HOTEL GINZA」(東京都中央区)や子どもの職業体験施設「キッザニア東京」(東京都江東区)などの運営、不動産リノベーション事業を展開するUDS(東京都渋谷区)。
施設名称の「SOKI」は素の器に由来。「自然や風土、素材を嗜(たしな)む場所としての宿を目指す」という。館内は、全室温泉付きの客室と里庭を併設したレストランで構成。客室は全54室で、「素空間」をテーマにデザイン。熱海湾を望む客室や緑に囲まれた客室など10タイプの客室を備える。露天風呂を設けた客室もある。
客室の温泉とは別に大浴場も設ける。地元で取れたかんきつ類や和漢植物を使った季節湯、伝統的な湯治の一つである蒸気湯から着想を得たスチームサウナも提供。長谷川望美支配人は「熱海の温泉は湯治場として栄えていた。お客さまの体だけではなく、心も整えていただける、ホテルでも旅館でもないこれからの温泉宿を提供したい」と話す。
茶寮がある最上階からは熱海湾を一望でき、熱海海上花火大会を観覧することも可能。和漢植物と静岡県産のお茶をブレンドした「季節の養生茶」や、熱海の特産であるダイダイを使った果実酒などを提供する。
レストランは炭火の炉を構えたオープンキッチンが特徴。「開放感と臨場感のある空間に仕上げた」という。地元の食材を使い、五行説や和漢を取り入れた養生御膳などを提供する。
館内の施設は全て宿泊客専用。新型コロナウイルスの感染予防対策として、客室のテレビで大浴場やレストランの混雑状況が確認できるようにした。
広報担当者は「熱海は若い方を中心に観光需要が戻ってきている。都心近郊からのアクセスが良い観光地。湯治のように何度も通っていただけるような価格帯にしたかった」と熱海出店の経緯を話す。9月に予約の受け付けを始め、すでに多くの予約が入っているという。