干物と日本酒の店「yoshi-魚-tei(よしうおてい)」(熱海市渚町)が6月22日、オープン10周年を迎える。
「ハイパー干物クリエーター」こと藤間義孝さんが経営する「干物屋ふじま」(網代)の直営店。2014(平成26)年6月22日に開店し、2020年11月には閉店した隣接の飲食店テナントも借り増しして店を拡張した。
10年を振り返り、藤間さんは「うち4年はコロナ禍で、さらに伊豆山の土石流災害も経験した。それでも店は閉めず、雇用は維持して乗り切ることができた。スタッフとお客さまのおかげ」と話す。
「ハイパー干物クリエーター」の肩書きは藤間さんオリジナル。テレビ番組でも度々紹介されて人気を集める藤間さんの干物は、魚を漬けるしょうゆなどの素材のほか、製法や干し方などにも独自のこだわりがあり、藤間さんの干物を買い求めて熱海を訪れる人が全国にいるという。全国30店ほどの百貨店や飲食店にも商品を卸す。同店の通信販売は、注文から商品の到着まで1年待ちが続いているという。
「誰よりも早く工房に行き、誰よりも遅く帰るのは昔から変わらない」と藤間さん。「工房は4畳半のスペースから始まり、現在では当初の4倍ほどの広さになった。生産体制を強化しながら、新たな商品の開発にも取り組んでいる」と話す。
一番多い時で30種類ほどを作っていたという干物の中でも、特に店頭で人気なのが「ビンチョウマグロ大トロ天日干し」「ウナギの塩こうじ造り天日干し」だという。藤間さんは「ウナギは独特のぬめりを取るのに苦労したが、ぬめりも臭みもなくうまみを凝縮させる製法で、おいしい干物を提供できている」と話す。最近では、イワシみりん干しや伊豆産バジル、熱海産ダイダイをのせた「熱海冷麺」(ハーフサイズ=660円、通常サイズ=1,100円)の提供も始めた。
今秋に向けて新店舗の出店も予定しているという藤間さんは「夜の熱海の街を少しでも明るくしてにぎわいに貢献できれば。地域にも貢献し、従業員にとっても働きやすい、飲食業のあるべき姿を追い求めていきたい」と話す。「技術が伴うので干物の増産は簡単なことではないが、多くの人に食べてもらえるように頑張りたい」とも。
営業時間は、11時~15時、17時~21時。月曜、第3日曜定休。