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熱海で「温泉シンポジウム」 温泉地が連携、国内外に魅力を発信

「第3回温泉シンポジウム」で話をする斎藤栄熱海市長

「第3回温泉シンポジウム」で話をする斎藤栄熱海市長

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 「第3回温泉シンポジウム」が6月30日、起雲閣(熱海市昭和町)で開かれた。

駐日ブルガリア共和国特命全権大使のマリエタさんの話を聞く参加者

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 主催は、全国の温泉地が連携し観光資源としての温泉の価値向上と文化的発信を推進する「温泉ツーリズム推進協議会」と熱海市。会場には一般参加者と関係者を合わせて約70人が集まり、オンラインでも配信された。

 シンポジウムは、温泉文化の魅力や可能性を国内外に広く伝えることを目的に、同協議会が各地で展開する取り組みの一環として行われた。開会に当たり、斎藤栄熱海市長は「大阪・関西万博、そして昭和100年という節目の年に、熱海で開催できたことを大変うれしく思う。全国の温泉地の発展に向けた一歩となることを期待したい」とあいさつした。

 基調講演では、京都府立大学准教授の松田法子さんが登壇。江戸初期に制作された熱海の一枚摺絵(すりえ)図に言及し、「京都、江戸に次いで熱海が絵図を持ったというのは、当時すでに町が観光広報を積極的に行っていた証し」と解説。大湯間欠泉を中心とした温泉町の構成や、初島を望む地形を生かした都市設計の可能性についても語った。楼閣建築「一碧(いっぺき)楼」に触れ、「大名庭園のミニチュアのような構造で、街並みや景観、温泉を楽しむ文化が共通していた」とし、熱海の持つ多様性や時代ごとの発展の様子を紹介。大正期以降の別荘地の拡大、昭和期の外部資本による旅館開発、現在の新規ホテル建設へと至るまでの歴史を通じて、「温泉を核にした都市形成が、熱海の成長を支えてきた」と話した。

 続いて、駐日ブルガリア共和国特命全権大使のマリエタ・アラバジエヴァさんが登壇。欧州で2番目に天然温泉が多い国であるブルガリアの温泉事情や、古代から続く鉱泉文化、医師の診断に基づいて施設を選ぶ温泉療法の制度などを紹介。「温泉文化は世界をつないでいる。ブルガリアと日本が温泉を通じて連携できればうれしい」と話した。

 講演後には、全国各地の温泉地の首長らによるパネルディスカッションが行われ、それぞれの地域での温泉を活用したまちづくりや観光施策、直面する課題について意見交換した。温泉を軸にした地域の持続可能性、健康との関係、文化の継承など幅広いテーマで活発な議論が交わされた。

 シンポジウムの締めくくりには、「歴史と自然が融合する温泉の価値を未来へつなぎ、地方創生と観光立国の実現に全力で取り組む」とする「熱海宣言」が採択された。

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