熱海を舞台にした中編映画「いつか来ない未来に」の撮影が4月1日、熱海市内の各所で行われた。これまで多くの文化人や俳優が研さんを積んだ街で、若手俳優らが一歩を踏み出す。
同作は、熱海と東京を舞台に若者の視点から描く大人の青春ストーリー。監督はオカモトナオキさん、製作はcreamsoda FILM(東京都狛江市)とポーラスター東京アカデミー(港区)、撮影協力はPLAN A(熱海市上宿町)。ポーラスター東京アカデミーは、脚本家の野島伸司さんが監修する俳優の養成所で、今回が同所にとって初めての映画製作となる。出演者全員が同所のレッスン生ら。主演は、音楽ユニット「NiziU(ニジュー)」リーダーのMAKOさんの姉でモデルの山口厚子さん。山口さんにとっては初主演の作品となる。
撮影は、ゲストハウスMARUYA、ロマンス座カド、スナックあた美、宝亭(以上、銀座町)などで行われた。熱海を撮影場所に選んだ理由について、オカモト監督は「昨年、脚本を執筆するために熱海を訪れた。その時に、熱海で映像製作をするPLAN Aの永田さんらと出合い、企画ができていった」という。「熱海は新しさとレトロさが混じり合った独特な雰囲気の街。出会う人たちが皆さんおおらかで、自然と受け入れてくれた。そういう街や人から受けたインスピレーションで、作品を作り上げることができた」と話す。
オカモト監督はこれまで、映画製作や脚本、演技指導を手掛け、5月には「アップリンク吉祥寺」(武蔵野市)で映画「ペテロの帰り道」が公開となる。オカモト監督は「今回の『いつか来ない未来に』は映画祭に出品したい。撮影の舞台となった熱海でもイベント上映できれば。今後、熱海を舞台に『熱海三部作』を作っていきたい」と意気込みを見せる。
初主演となる山口さんは現在、芸能事務所に所属しながら、ポーラスター東京アカデミーで日々、レッスンに励んでいるという。山口さんは「頂いている仕事で、周りの期待にしっかり応えられているかまだ不安だが、一つ一つを精いっぱい取り組んでいきたい。今回も手探りで、何とか皆さんに助けられてやっている」と引き締まった表情で話す。「熱海では以前、花火大会を見たことがあり、とてもきれいで感動した。撮影では熱海の商店街などの雰囲気が、地元と重なって懐かしい思いになった。本作ができあがったら、作品を通して熱海を身近に感じて、熱海に行ってみたいと思ってもらえるとうれしい」と期待を込める。
完成は6月を予定。