熱海・伊豆山で発生した土石流災害の復興活動をする熱海の事業者らが8月21日、岐阜県高山市で義援金を集める小学生の元を訪れて感謝を伝えた。
高山市で募金活動をしているのは、高山市立西小学校3年の森安ひばりさん。森安さんは、7月3日に発生した熱海の土石流災害の様子をテレビで目の当たりにした。「熱海を助けたい」という思いから、4ヶ月前に習い始めたギターの弾き語りを思い付き、ギターを片手に自ら義援金集めをスタートしたという。学校が夏休みの間、「夏休み、わたしは、熱海をたすけたいです」とプラカードを掲げて高山市内のスーパーなどの前に座り、弾き語りを続けた。
SNSを通じて森安さんの活動を知ったのが、土石流で被災し復旧活動をする弁当店「喜与味(キヨミ)」(熱海市伊豆山)の高橋一美さんと「小沢ひもの店」(銀座町)の小沢毅さん。高橋さんは「健気な姿に心が打たれた」と感銘を受け、すぐさまお礼に森安さんの元を訪れると決め、SNSを通して知人経由で森安さんの家族の了承を得た。訪問は、森安さん自身に告げずサプライズにしたという。
当日は、集めた干物や菓子、グッズ、だいだい製品、熱海プリンなどの熱海土産と共に5時間以上かけて車を走らせ、高橋さん、小沢さん、ゲストハウス「MARUYA」(銀座町)の中野裕基さんの3人が、森安さんが弾き語っているスーパーの前を訪れた。
森安さんの弾き語りの様子を間近で見た高橋さんは「熱海に来たこともない女の子が熱海を思い一生懸命に歌ってギターを弾いている純粋な姿に、涙が止まらなかった」と言う。「私たちが森安さんからパワーをもらったので、森安さんの活動の励みになれば」と、持参した土産物を手渡した。突然の来訪者に始めは驚いた様子の森安さんだったが、次第に笑顔がこぼれ、記念撮影に応じた。
高橋さんは「子どものまっすぐな気持ちや素直さに気付かされた。たった一人の女の子でもこんなことができる。縁もゆかりもない熱海のために、自分のできることを一生懸命に取り組む姿に感動した。この姿を見て、熱海の人たちにも何かを感じてもらえれば」と話していた。