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熱海・伊豆山の障がい者就労支援施設がクラウドファンディング 「声が届いてほしい」

伊豆山の障がい者就労支援施設「心象めぐみ会共同作業所」の利用者と職員

伊豆山の障がい者就労支援施設「心象めぐみ会共同作業所」の利用者と職員

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 熱海・伊豆山の障がい者就労支援施設「心象めぐみ会共同作業所」(熱海市伊豆山)を運営する特定非営利活動法人「めぐみ会」が8月30日、施設の運営存続のためのプロジェクトを立ち上げた。クラウドファンディング(CF)で支援を募集する。

作業所で作られたあずま袋や廃棄される傘の傘布で作ったエコバックなど

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 7月3日に発生した伊豆山の土石流災害により、同作業所の建物自体の被害は免れたものの、土石流は目の前の市道まで及んだ。市道は現在も復旧作業で通行止めが続いており、規制エリアにある作業所も利用することができない。災害直後から、同作業所の駐車場は復旧活動をする消防の待機所として使われた。

 災害当日は、避難警報が発令されていたため臨時休所しており、職員6人と施設の利用者17人全員の無事が確認できたものの、利用者2人が被災して現在も入院しているという。伊豆山の作業所を使うことができないため、現在は熱海駅前の第一ビル(田原本町)の1室を一時的に無償で借り受け、臨時の作業所として再開している。

 同作業所の職員・古畑ひとみさんは「幸いにも建物や人的被害は無かったものの、規制エリアにあって安全が確保されていないこともあり、元の作業所を利用することができない。休業している間にも損失が発生した。建物被害が無いため、現状では被災給付金など公的な補償は対象外となる。作業所の運営の存続と、1施設がこのような状況になっていることを多くの人に知ってもらいたいと、CFを立ち上げることにした」と経緯を説明する。

 CFの目標金額は150万円で、集まった資金はリターンや手数料を除いた全額を同施設の運営費に充てる。支援のコースは500円から用意。お礼のメッセージのほか、作業所で作られた「あずま袋」や廃棄される傘の傘布で作った「エコバック付き福袋」などをそろえる。

 同作業所は1994(平成6)年に開所し、2009(平成21)年に就労継続支援B型事業に移行。障がいのある人たちが地域で安心して働いて作業できるように、日常生活訓練や作業指導を行っている。古畑さんは「これまで利用者や職員で作業所周辺の清掃活動もしてきた。伊豆山の人たちからは『早く戻ってきて』と言ってもらえている。本当は早く戻りたいが、まだ安全が保証されていないので、戻りたくても戻ることができない状況」と思いを口にする。

 古畑さんは「全国各地で災害が発生していて、同じような境遇にあっても届いていない声があるはず。まずはこのように困っている施設があるということを知ってもらえたら。利用者もCFのポスターを作って一緒に前を向いて頑張ろうとしている。一人でも多くの人に声が届いてほしい」と期待を込める。

  クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で支援を求める。

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