干物と日本酒の店「yoshi-魚-tei(よしうおてい)」(熱海市渚町)が11月17日、店舗を拡張してリニューアルオープンした。経営は網代で干物の加工販売をする「干物屋ふじま」。
同店は「ハイパー干物クリエーター」こと藤間義孝さんが営む「干物屋ふじま」の直営店で、2014(平成26)年に開店した。このほど隣接する飲食店が閉店したため、壁を取り壊して拡張。内装と外装は和モダンな雰囲気に改装して大幅にリニューアルした。併せて、同社が経営していた居酒屋を閉店して同店と統合し、メニューも両店の人気メニューを集約した。
席数はテーブル席12席、カウンター席10席、個室の小上がり席4席。新型コロナ感染症対策を意識してテラスにも4席を設けた。店外につるしたちょうちんには、藤間さんが蔵元に直接交渉して許可を得たという日本酒の銘柄をあしらう。
フードメニューは藤間さんが作った干物を中心に、おでんや創作料理など豊富なメニューを取りそろえる。料理長の小林竜也さんは「統合前の両店で人気だったメニューを提供する。干物は地元のものにこだわり過ぎると旬を逃してしまうこともあるため、その時期の旬の魚を全国から仕入れて干物にしている」と話す。現在提供している干物は、脂質含有量10%を超えるという島根県産の「アジの開き」(650円)、塩干しとみりん干しの「花えび二色」(600円)、宮城県のブランドサバを使った「金華サバ塩干し」(1,300円)など。変わり種としては、国産ウナギを特製の塩麹に漬け込んだ「うなぎの塩麹造り天日干し」(半身=1,800円、一本=3,200円)も。(価格は全て税別)
藤間さんが作る干物は全国にファンが多く、わざわざ遠方から藤間さんの干物を買うためだけに熱海に来る人もいるという。「製法や干し方、漬けるしょうゆなど全てにこだわって作っている。一度食べると干物の概念が変わる」と小林さん。
「ハイパー干物クリエーター」の肩書きは藤間さんオリジナル。「10年ほど前、娘から仕事を聞かれた時、『水産加工業』ではインパクトが無かった。ちょうどテレビで『ハイパーメディアクリエーター』というワードが出ていたので、それをもじって『ハイパー干物クリエーター』を名乗るようになった」という。
干物のほか、「新鮮な地元の魚を仕入れている」という「刺し身五点盛り」(3,800円)やイタリアンの創作料理をテーマにした「干物の和ヒージョ」(1,000円)、「花えびワイン蒸し」(1,200円)なども提供。ドリンクメニューは日本酒を豊富に取りそろえ、現在は31の蔵元の日本酒を取り扱う。
藤間さんは「拡張前の店は、コロナ禍で入店する人数制限もしながら営業していた。隣の店が空き、こういう時期でもあり迷ったが、コロナ対策を徹底することを前提に2店舗を統合して拡張する決断をした」と経緯を説明。「最近では干物が注目され、若いお客さまからの注文も増えている。日本のソウルフードである干物を世間に広げていきたい」と意気込みを見せる。「コロナ禍ではあるが、もう一度、外食やお酒を飲む楽しさを取り戻していけたら」と期待を込める。
営業時間は11時30分~15時、17時30分~22時。月曜・第3日曜定休(祝日除く)。