熱海で12月中旬から、相乗りタクシーを活用した「次世代観光・地域交通プラットフォーム構築実証事業」が始まる。
事業の開始に先立ち、熱海商工会議所、熱海市観光協会、熱海温泉ホテル旅館協同組合、熱海芸妓置屋連合組合、静岡県タクシー協会熱海支部、熱海高校、沼津工業高等専門学校などが「熱海次世代観光・地域交通プラットフォーム協議会」を設立。乗換案内サービスを提供する「ジョルダン」(東京都新宿区)が観光庁の「事業者連携型既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」を受託して、協議会や熱海市のサポートを受けながら移動サービスシステムの構築・提供を行う。
実証実験では、熱海の情報を配信する動画サイトと連携したミニツアーの実施、「相乗りタクシー」を使った観光客や交通弱者住民の移動サービス、タクシーによる弁当・料理の配送サービスなどを提供する。ジョルダンは実証実験で、乗換案内と連動する情報アクセスから移動サービスの提供までをシームレスに行うことができる観光・地域交通のプラットフォーム事業の立ち上げを目指すという。
相乗りタクシーは11月1日、国土交通省が解禁。同乗の客同士で運賃を案分できるため通常よりも安く利用できる利点がある。タクシー業者にとっては、タクシー利用の促進、運転手不足の解消につながる。
今回の実証実験では、乗車予約をアプリ、キオスク端末、電話で受け付けるとしているが、本来の乗客のマッチングはアプリで行うことを前提としている。各地で実証実験が始まっているが、課題として、アプリを使用していない高齢者の利用促進をどうするか、同乗の客同士のプライバシーや安全の問題、マッチング率の低さなどが挙げられている。
同協議会の森田金清会長は「熱海市は坂道が多く、徒歩に向かない観光地のため、熱海駅周辺や銀座商店街のにぎわいだけが目立つ。乗合タクシーで、熱海のさらに深い魅力を観光客に発見してもらえれば。市内の高齢化率は48%にも達し、交通弱者が増えているので、こういう人たちにも利用してもらいたい」と期待を寄せる。
実証実験は2022年2月28日まで。