熱海を舞台にした中編映画「いつか来ない未来に」の初上映が11月20日、熱海芸妓見番歌舞練場(熱海市清水町)で行われた。
同作は、熱海と東京を舞台に若者の視点から人生の通過点を描く大人の青春ストーリー。4月に熱海市内の各所で撮影が行われていた。初上映となった20日は、作品の上映後に監督のオカモトナオキさん、初主演を務めた山口厚子さんら出演者10人が、上映会場に詰め掛けた観客を前に舞台あいさつを行い公開の喜びを語った。
撮影には、宝亭、スナックあた美、ゲストハウスMARUYAなど市内の事業所がロケ地として協力した。オカモト監督は「熱海の皆さんの協力が無ければ、今回の作品は生まれなかった。おかげでイメージ通りの作品に仕上げることができた。熱海で公開して見てもらうことがお返しになれば」と話した。「熱海でよく見る風景だけでなく、普段は入れない屋上や部屋からの景色など、違った角度から熱海のスポットが登場するところも見どころの一つ」とも。
オカモト監督にとって今作の位置付けは「熱海三部作」の第1作目となる。2作目は10月に撮影を終えている。オカモト監督は「撮影スタッフや出演者などみんなが『また来たい』と言うくらい熱海はよいところ。まだ熱海に来たことがない人にも作品を通して魅力を感じてもらえれば。三部作に魅力を集約したい」と意気込む。
初主演を飾った山口さんは、4月のロケ以来、約半年ぶりの熱海だという。山口さんは「撮影して以降、熱海では災害が発生したり自分はフリーになったりと色々なことがあったが、まずは無事に公開できてホッとしている」と話す。思い出のシーンについて、「スナックで仲間が集まって話すシーン。ノーカットで5分ほどアドリブで話す場面がある。今回の撮影で初めて顔を合わせた出演者同士だったが、役になりきって話していくうちにお互い通じ合うことができた。これが芝居の面白さだと感動して涙が出た」と振り返る。
今後について、山口さんは「この作品が今やっているモデルの仕事などの表現の場に生かされている。日本から世界を目指すくらい視野を広くして頑張りたい。支えてくれるファンや家族に恩返しできれば」と話した。
2人の熱海のお気に入りの店について聞くと、「宝亭」と声をそろえる。ロケで食べたカレーがおいしかったという山口さんは舞台挨拶の前にハヤシライスも食べに行ったといい、「これまでのハヤシライスの概念を覆すくらいおいしくてびっくりした」とも語った。
この日は同作のほか、伊豆山の「前川國男建築 稲村ハウス」で撮影した短編映画「つめたいあかり」も初上映した。永岡俊幸監督と主演の廣瀬菜都美さんが舞台あいさつを行い、観客からは大きな拍手が上がった。
今回の上映会は第4回「熱海怪獣映画祭」の関連イベントとして企画。映画祭は21日から3日間に渡り、国際観光専門学校熱海校で開かれている。