熱海の老舗温泉宿「古屋旅館」(熱海市東海岸町)が離れ棟を改装し室内露天風呂付き客室をオープンして5カ月がたった。
改装工事は離れ棟の客室のうち4室をリニューアル。室内露天風呂のほか、客室内の感染症対策設備を施し、7月にリニューアルオープンした。改装の背景について、内田宗一郎社長は「コロナ禍で大浴場よりプライベート利用できる風呂へのニーズが高まっている。離れ棟のお客さまが大浴場を使うためには、離れ棟から外を通って本館大浴場に移動する必要があった。安心できる空間でゆっくり温泉を楽しんでもらいたいという思いからリニューアルをすることにした」と話す。リニューアル後の客室の稼働率は、直近の10月~11月で91%とほぼ満室だったという。
リニューアルした客室の露天風呂には外付けのブラインドを設置し、開閉することで屋外の空気を感じることができる「室内露天風呂」の仕様にした。浴槽は国産天然ヒノキ材を使った総ヒノキ造りを採用。温泉は同館が単独所有する名湯で熱海七湯の一つ「清左衛門の湯」を、24時間かけ流しで楽しめるという。
新型コロナウイルス対策として、深紫外線LEDを搭載した空気除菌消臭装置、医療機関でも使われるというダウンライト型脱臭除菌装置を離れ棟全室に設置した。
同館は創業から部屋食の形態を取っており、設備面と併せて「安心して宿泊できる宿づくり」を目指している。内田さんは「来年度には離れ棟の食事処を改装し、リトリート&カンファレンススペースを開設する。高速ネット回線も備え、ワーケーションニーズにも対応していく。歴史と伝統を大切にしながらも、新しい時代に合わせた施設にしていきたい」と意欲を見せる。