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熱海の「ゴンドラ付き1円物件」が民泊施設に DIYで海や花火大会を望む施設に改装

高台に立つ民泊施設「ゴンドラヴィラ・イン熱海」

高台に立つ民泊施設「ゴンドラヴィラ・イン熱海」

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 熱海の西熱海別荘地に民泊施設「ゴンドラヴィラ・イン熱海」(熱海市西熱海1)が12月18日、プレオープンした。

デッキからは相模灘を一望できる

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 JR熱海駅から車で約10分の別荘地にある同施設。インテリアコーディネーターで家具の輸入・販売などを手掛ける大巻広美さんが、2020年9月に同物件を1円で購入し、約1年かけて開業にこぎ着けた。

 大巻さんが当時、購入したかった物件は民泊用ではなく賃貸用だったという。「投資用の賃貸物件を探していたときに、空き家専門サイトで『1円物件』を見つけた。熱海はよく遊びに来ていて好きな場所だったので気になって見に来たが、最初に家の中を見て驚いた」と振り返る。

 3年間ほど空き家だったという同物件は、そのまま住むには程遠い状態だったという。大巻さんは「前所有者の家具や家電、布団、洋服などの残存物であふれていて、動物の侵入で荒らされた状態。家の周りは草木で覆われ伐採しないと中に入れなかった。事故物件ではなかったが、誰も買い手が付かない理由が分かった」と話す。

 それでも同物件に可能性を感じたという大巻さんは「築年数はまだ30年ほど。躯体はしっかりしていて天井や水回りも良い状態。窓に電動シャッターが付いているなどお金をかけて作られていた。何よりも、『ゴンドラ』が目を引いた」と話す。

 住居は高台の傾斜地に作られており、接する道路からは急な石の階段を約20メートル上った先にある。大巻さんがゴンドラと呼ぶのは、階段に並行して下の道路と結ぶために設置されていた昇降機のこと。前所有者が高齢者だったため、移動が楽になるように人と物を運ぶための昇降機を設置していたという。昇降機の箱は使われなくなった電話ボックスを使い、頑丈な作りではあったものの、当初は故障して動かなかった。

 同物件の購入を決め、1円で物件を手に入れた大巻さんは、毎週末に夫の西恵一郎さんと東京から熱海に通いながらDIYでリフォームを行った。西さんは学生時代に大工仕事の経験があり、電気工事士の資格も持っていたことが役に立った。延べ100人以上の知り合いにも手伝ってもらいながら残存物の処理や修繕、改装などのリフォームを進めたという。

 リフォームを進めていく中で、大きな発見もあったという。購入当初は遠くにわずかしか見ることができなかった海までの眺めが、建物前方の木を伐採することで大きく開け、相模灘や熱海城、熱海港を眺められるようになった。「新しく設置したウッドデッキから眺める熱海海上花火大会が最高」と大巻さん。晴れた日には初島や大島まで眺めることができるという。景観を多くの人に味わってもらいたいと、「知人からの勧めもあり民泊施設にすることを決めた」と話す。

 民泊は、3LDKの2階部分を貸し出し、カウンター付きのダイニングキッチンを中心に和室や洋室を配置。風呂の窓からは熱海の山側の景色を望める。室内の家具や家電などは大巻さんの仕事を生かしてコーディネートした。自分たちが犬や猫を飼っていることから、ペットとの宿泊も可能にしたという。大巻さんは「駅から車で10分程度。熱海の海と山、自然を存分に感じてほしい」と話す。

 物件の購入からリフォームにかかった費用は、不動産登記にかかる登録免許税、不動産取得税、固定資産税などのほか、ゴンドラの修理費、建物内外の修繕費、備品等の購入費など合わせて500万円ほど。現在も建物1階部分はリフォーム中で、来年1月から飲食店が入居することになっている。大巻さんは「熱海では空き家が多いことが課題となっているが、自分たちの活用事例が起爆剤となって空き家を活用する人が増え、空き家が少しずつでも減っていくことにつながれば」と期待を寄せる。

 今後について、大巻さんは「物件は立地と景観が大事だと学んだ。インターネットに掲載された物件情報から、自分でどこまで活用のイメージを持てるか。今後も熱海や湯河原などで空き家を生かす活動をしていきたい」と意欲を見せる。

 宿泊料金は1泊4人2万8,000円から。営業日は土曜・日曜・祝日のみ。民泊サイトAirbnbで予約を受け付ける。

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