熱海・伊豆山の土石流で被災した「そば処木むら」(熱海市伊豆山)が12月22日、発災から半年を前に営業を再開した。
11時の開店にあわせて再開を待ちわびた客が来店し、変わらぬそばの味を楽しんだ。同店は1935(昭和10)年創業の老舗そば店で、80年以上にわたり伊豆山の地元住民に親しまれてきた。
同店の小林和海さんによると、7月3日に発生した土石流災害では、大量の土砂が国道135号に接する建物1階の店舗部分とそば打ち機などがある地下室にまで流れ込んだという。土砂で機械や冷蔵庫は被害を受けたが、先代から使う「かえし」のつぼは無傷で見つかった。
小林さんは一時は閉店も考えたというが、つぼが無事に残ったことで営業再開を決意したという。店はボランティアに土砂の排出など復旧をサポートしてもらいながら準備を整えた。
休業中は、近況を発信しようと店のツイッターアカウント「@kimurasoba」を開設。10月30日には「ボランティアの方達の懸命な作業のお陰で土砂も撤去でき感謝の心でいっぱいであります。木むら再開までもうしばらくお待ち下さいませ」と感謝の気持ちを発信した。
11月30日には「伊豆山土砂災害から5カ月が経ちます。木むらもようやく営業再開の見通しがついて参りました。これまで多くの皆様のご支援があったからこそ前向きに頑張れました。この感謝の思いを忘れずに頑張って参ります!伊豆山復興に向けて!12/22営業再開を致します。ご来店心よりお待ちしております」とツイートした。
同ツイートには「そば処木むらは伊豆山の顔です。災害から立ち上がるパワーを皆で共有して、熱海全体が一つになり、この災害を忘れず、深い悲しみをバネに、強くて美しい熱海にしていきましょう」「また温かいおそばを食べに行かせていただきます」などの返信が寄せられた(以上、原文ママ)。
22日、営業を再開し、小林さんは「これだけ応援してくれる人たちがいてあらためて感謝している。今日は感謝、感動する気持ちが一気にきた。まだこれから。スタートしたばかりだから変わらないようにやっていきたい」と引き締まった表情で話した。
営業時間は11時~(閉店時間は日による)。