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熱海・伊豆山に住民と観光客の交流拠点を ボランティア団体が復興プロジェクト

熱海・伊豆山のボランティア団体「テンカラセン」メンバー(撮影時のみマスクを外しています)

熱海・伊豆山のボランティア団体「テンカラセン」メンバー(撮影時のみマスクを外しています)

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 熱海・伊豆山のボランティア団体「テンカラセン」(熱海市伊豆山)が12月16日、伊豆山にコミュニティーカフェを作るプロジェクトを立ち上げて支援を呼び掛けている。

カフェ予定地の窓からは相模灘を一望する絶景が

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 7月3日に発生した大規模土石流により被災した弁当店「喜余味」(伊豆山)の代表を務める高橋一美さんを中心に、10月3日に設立した同団体。伊豆山地区の事業者や市内の住民らがメンバーとなり、復旧・復興のボランティア活動を続けている。

 同団体メンバーが地区に住む高齢者の御用聞きや支援物資の配達を行う中で、住民同士の横のつながりが薄く、安否や居住確認などの情報収集が大きな課題だったという。高橋さんは「足が悪くて公民館に配給の弁当を取りに行けない高齢者や、道路が寸断されて買い物に出掛けることができない住民もいた」と当時を振り返る。一方で、弁当や物資を届けるたびに笑顔を見せてくれる人や一緒にボランティア活動に参加したいと申し出てくれる若者もいたという。「世代を超えて人がつながる光景を見て、伊豆山に人が集い、顔を合わせ、お互い支え合える場所を作ろうと決意した」と高橋さん。国道135号に面する「浜会館」4階の空きスペースにコミュニティーカフェを開設するプロジェクトを立ち上げた。

 「浜会館」の1階には住民が利用する共同浴場「浜浴場」が入り、2階は地域の集会場、3階は地元で人気の焼き鳥店が入っている。伊豆山の観光名所で日本三大古泉の一つ「走り湯」から伊豆山神社に上る参道と国道135号の交差する場所に浜会館は位置し、「観光客と住民が交流できる拠点として最適な場所」ということも決め手だったという。

 コミュニティーカフェは、住民や観光客が気軽に立ち寄れる喫茶、名産品の販売、イベント開催、住民の相談所の機能を持つという。クラウドファンディングで支援を呼び掛け、集まった資金はカフェにかかる工事費、器具備品購入費、リターンなどに充てる。目標金額は450万円。支援できる金額は500円から。金額に応じて、住民がカフェで使えるコーヒーチケット、伊豆山の店応援セット、伊豆山のガラス工房体験券などを提供する。高橋さんは「伊豆山の住民・事業者を支え、伊豆山の魅力を感じてもらえるようなリターンを用意した」と話す。

 伊豆山地区は温泉郷として栄え、走り湯、逢初橋、伊豆山神社など歴史的なスポットが点在する地域でもある。バブル崩壊以降は観光客が減り、飲食店や食料品店も徐々に少なくなっていった。地域の高齢化や独居化も進み、コロナ禍でさらに交流も減ってしまったという。高橋さんは「土石流災害からの復旧・復興の道のりはまだまだ長いが、復興の先の伊豆山を見据えながら、今後も自分たちがやるべきことに取り組んでいきたい。皆さんの力を貸してもらえれば」と呼び掛ける。

 支援金は「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で受け付ける。1月22日まで。

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