熱海の老舗豆腐店「大松商店」(熱海市水口町 TEL 0557-81-2935)がこのほど、杏仁豆腐の小売りを始めた。
1924(大正13)年に創業し、間もなく100周年を迎える同店。現在は、豆腐や厚揚げ、練り物などの食品を手作りし、主にホテルや旅館に卸している。
今回、販売を始めたのは小売り用に新たに商品開発したという杏仁豆腐。2月4日に予約制で限定20個を販売したところ、すぐに完売。8日、12日にそれぞれ50個ずつ予約を受け付けて販売したが、両日共、前日までに予約で完売した。最初は知り合いが購入していたが、口コミやSNSで知った地元の客や観光客も購入しているという。同店の杉山美和子さんは「まだ店のインスタグラムで告知している程度だが、一度買ってくれたお客さまが『おいしかった』と、次はまとめ買いしてくれるケースもある」と話す。
販売の経緯について、同店の杉山直也さんは「コロナの影響で宿泊施設からの注文が減ったため、何かチャレンジできればと考えた。当店は豆腐屋のイメージが強いが、豆腐以外の商品も扱っており、知ってもらうことでアピールにつなげたかった」と説明する。
これまでも宿泊施設への卸し用に杏仁豆腐は製造していたが、小売りするに当たり、新たに原材料や製法も見直した。硬い寒天のような食感ではなく、滑らかでとろけるような食感を出すことにこだわり、何度も試作を重ねた。優しい甘さになるようにと、2種類の牛乳と生クリームを配合するなど試行錯誤を繰り返して完成にこぎ着けた。「老舗の豆腐屋が作るこだわりの杏仁豆腐に仕上がった」と胸を張る。パッケージにもこだわり、食べ終わった容器は自宅で保存容器として再利用できるものを選んだ。
現在は、「お試し販売」で200グラム入り250円で販売しているが、原材料の価格高騰なども踏まえて、今後は300円~350円程度での販売を予定している。
美和子さんは「そのままでももちろんおいしいが、自宅でイチゴのトッピングや黒蜜きな粉などでアレンジするのもお薦め」と話し、SNSで食べ方の提案も行なっている。直也さんは「口当たりがよく、程よい甘さの杏仁豆腐なので、子どもから年配の人まで食べやすい商品になっている。まずは知ってもらって、幅広い客層に届けていければ」と話す。
販売日は同店のインスタグラムで告知する。次回は2月16日。予約はメッセージと電話で受け付ける。