暮らす・働く

熱海駅前の老舗雑貨店「趣味の店 アカオ」が閉店 飲食店にリニューアルへ

雑貨店「趣味の店 アカオ」が閉店し、飲食店の工事が進むビル1階

雑貨店「趣味の店 アカオ」が閉店し、飲食店の工事が進むビル1階

  • 99

  •  

 JR熱海駅前の雑貨店「趣味の店 アカオ」(熱海市田原本町)がこのほど、閉店した。前身の土産物店の創業から約100年の歴史がある店が、新たな店へと生まれ変わる。

写真で雑貨店を振り返る光一さんと仁子さん

[広告]

 同店を営んできたのは、「アカオ商店」3代目の赤尾光一さんと妹の井上仁子さん。昭和初期に土産物店「赤尾商店」として創業した。創業者は光一さんの祖父にあたる赤尾孫四郞さん。孫四郎さんの兄弟が温泉を利用した病気療養で熱海にいたことから、孫四郞さんも群馬県から熱海に引っ越した。当初は旅館などで住み込みとして働いていたが、しばらくして現在の場所の土地を購入。熱海駅が開業した1925(大正14)年とほぼ同時期に土産物店「赤尾商店」をオープンした。当時は、干物、まんじゅうなどの熱海名産品のほか、孫四郞さんが手作りする木工品を販売していたという。

 孫四郎さんは旅館も手掛けるようになった。現在のACAO SPA & RESORT(旧ホテルニューアカオ)は光一さんの親戚が経営。土産物店は2代目で光一さんの父・光生さんと母・雪江さんが継ぎ、店を切り盛りした。光生さんは、1970(昭和45)年に現在の地上5階、地下1階のビルを建てた。当時、駅前はまだ平屋建ての建物が多かった時代で、白いビルに丸い窓を施した個性的な建物は目立っていたという。光一さんは「父は新しいもの好きで、自動ドアにしたのも、商店街では父が一番早かった」と振り返る。

 ビル内に設けた店舗は、1階の土産物店から始まり、2階の喫茶店「Cafe Agir(カフェ・アジール)」、地下1階の「食事処(どころ)味くら」を次々にオープンさせた。土産物店はこの頃、干物やまんじゅうなどの販売をやめ、日本人形やぬいぐるみ、民芸品などの販売に切り替えた。

 子どもの頃、ビルの3階より上の住居部分に住んでいた仁子さんは「時代はバブル期。シャッターを強制的に閉めなければならないほど、多くのお客さまが来店し、とにかく両親が忙しそうにしていた」と振り返る。この頃から雪江さんの趣味でフレンチ雑貨やアクセサリーなどの商品を中心に扱うようになり、この20年ほどは、雑貨店「趣味の店 アカオ」として定着していたという。

 大学卒業後、就職でいったんは熱海を離れた光一さんと仁子さんだが、現在は家業を継ぎ、光一さんが飲食店を含む経営全般で、雪江さんと共に仁子さんが1階の雑貨店の運営で、店を切り盛りしてきた。雑貨店は、好きなものに囲まれる雪江さんのもとに常連の客が立ち寄るかけがえのない場所といい、「しばらく現状維持のままでも」(仁子さん)という思いはあったというが、昨年12月31日で雑貨店は閉店。現在、4月末のオープンを目指し飲食店にリニューアルする工事を進めている。

 家族で守ってきた雑貨店をリニューアルすることについて、仁子さんは「自分が熱海に生活基盤ができ、店を運営する決断ができたことが一番の決め手となった」と話す。「閉店するというよりも今までの延長上という感覚」と仁子さん。「これまでも少しずつ店の形態を変えながらやってきた。『趣味の店 アカオ』の面影を残しつつ、店を愛してくれたお客さまにも喜んでもらえるような新店舗にしていきたい」と意気込む。

 現在は熱海市議会議員も務め、地域の発展に貢献する光一さんは「この熱海駅前という場所は、観光客にとって熱海の入り口。お客さまにワクワクしてもらえるような場所にしたい。気付いたら寄っているような店を目指したい」と話す。

週刊みんなの経済新聞 ハッピーニュースアワー
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース