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熱海の元歌手・フォトグラファーYUTAさんが活動から1年 がんを乗り越え

熱海でフォトグラファーとして活動するYUTAさん

熱海でフォトグラファーとして活動するYUTAさん

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 熱海出身の元歌手・YUTA(ユウタ、本名=井上雄太)さんがフォトグラファーとして活動を始めて、間もなく1年を迎える。

熱海サンビーチ近くのカフェでインタビューを受けるYUTAさん

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 熱海・多賀で生まれ育ったYUTAさんは現在32歳。20歳の時に歌手を目指して上京した。「学生の頃から歌を歌うことは好きだったが、歌手は憧れの存在。東京につてやコネがあったわけでもなく、歌手になりたいという思いだけで上京した」というYUTAさんは、歌手の養成所に通い訓練を積んだ。当時について、「養成所の学費を返済するためにバイトを詰め込み、食事も節約して大変な生活だった」と振り返る。

 新しくできた歌手の仲間と音楽イベントに出るようになった22歳の時、音楽事務所からスカウトされたことが転機になったという。その後、2015(平成27)年にそのメンバーで5人組みの音楽ユニット「UNIONE(ユニオネ)」を結成。2016(平成28)年7月、YUTAさんが26歳の時にSMEレコーズからメジャーデビューを果たした。2017(平成29)年の「第59回日本レコード大賞」では新人賞を受賞。以降、オリコンチャートでトップ10入りするシングルやアルバムを立て続けにリリース。コンサート活動やテレビの音楽番組に出演し、活躍の幅を広げた。

 YUTAさんほか2人のメンバーが静岡県出身ということもあり、静岡のラジオでレギュラー番組を持ったり、ジュビロ磐田のシーズンソングを担当したりと、地元での活動も増えてきた矢先、YUTAさんの体にがんが見つかった。ステージ2の大腸がんでリンパ節への転移は確認されず、手術で摘出することができたが、「死や人生について考えさせられた。価値観が大きく変わった」と振り返る。音楽活動に復帰することも考えたが、「新しいスタートを切ることに決めた」と2020年12月末、YUTAさん30歳の時にUNIONEを脱退した。

 当時のことを振り返り、YUTAさんは「病気の時も落ち込むことはなかった。20代は一生分の経験をしたと言ってよいくらい充実していて何も後悔はなかった」と話す。「自分がやってきたことや仲間と過ごした時間は、音楽の作品や映像、写真などに残っている。それが自分にとっての財産」とYUTAさん。

 その時に改めて写真の素晴らしさを感じたという。音楽活動をしていた頃から趣味で写真撮影をしていたというYUTAさんは「今度は記憶ではなく形で残すことができる写真で人に喜んでもらうことをしたい」とフォトグラファーになることを決め、2021年2月に熱海にUターン。4月から本格的にフォトグラファーとしての道を歩み始めた。

 活動を始めて間もなく1年がたつが、現在は個人から依頼を受けた「ロケーションフォト」や飲食店の商品撮影などを中心に、熱海を拠点に出張撮影を行っている。現在も活躍中のUNIONEなど、アーティストの撮影に携わることもあるという。YUTAさんは「祝い事の特別な日だけでなく、何でもない日常や瞬間を写真に残したい。『撮った日が記念日になる』という思いを大切に活動している」と言う。

 3月には、今春卒業する高校生を対象に、熱海サンビーチで無料撮影を予定している。YUTAさんは「まだ熱海に戻って来て1年。生まれ育った大事な地元のためにできることをしたい」と話す。今後について、YUTAさんは「子どもの頃に住んでいた時よりも熱海は元気になっているが、まだポテンシャルがある。熱海の魅力を観光客だけでなく、地元の人にももっと知ってもらいたい。写真を通して、熱海の魅力を感じてもらえるきっかけになれたら」と意欲を見せる。

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