熱海出身・在住の日本画家・坂本武典さんが描いた「干支(えと)ラベル」を貼った純米酒「天虹(てんこう)」の販売が熱海市内の酒販店で始まった。
「天虹」は、静岡市の駿河酒造場が製造する日本酒。同社の専務で杜氏(とうじ)の萩原大吾さんと坂本さんが高校の同級生だった縁で、10年以上前から坂本さんが新春干支ラベルのデザインを任されている。
今年のラベルは「初にらみ寅図」と題し、干支の寅(とら)が伊豆山の高台から海に浮かぶ初島と日の出を望む様子を描いた。昨年7月に発生した伊豆山土石流災害の復興への思いを込めた。干支ラベルで提供する「天虹」の完成がテレビや新聞で紹介されると、大きな反響を呼んだという。
駿河酒造場の萩原さんは「どこで購入できるかといった問い合わせや取り寄せたいという電話が多くあった」と話す。坂本さんにも、知り合いなどから購入を希望する連絡があったが、熱海市内で販売する店はなく、対応に苦慮していた。
熱海市内での購入を希望する声を聞きつけ、問屋と市内の酒販店が協力して3月、同商品の市内での販売にこぎ着けた。4日から販売を開始した熱海市役所近くに店を構える近江屋酒店(熱海市中央町)では、約200本を仕入れて店内中央に特設コーナーを設けた。同店の古株伸一社長は「干支ラベルの天虹の取り扱いは当店では初めて。静岡県内の蔵元が製造し、売り上げの一部が災害義援金に寄付されることもあり、少しでも貢献できればと思い販売することに決めた」と話す。店内で販売するほか、取り引きのある市内の飲食店での提供も決まっているという。
近江屋酒店を訪れた坂本さんは「天虹は、スッキリして女性でも飲みやすいのが特長。地元の人だけでなく、観光客に熱海の土産として購入してもらうことが復興支援にもつながる。酒屋、蔵元、熱海に関わる人がハートでつながればうれしい」と期待を寄せる。
熱海市内では近江屋酒店のほか、石和酒店(昭和町)、善波酒店(田原本町)、内辰商店(網代)、天神酒店(咲見町)で販売中もしくは販売予定。販売価格は、300ミリリットル=550円、720ミリリットル=1,320円。