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熱海・伊豆山港復興へ 土石流被災の地元漁師が支援を呼び掛け

プロジェクトを立ち上げた漁師「喜久丸」の松本早人さん

プロジェクトを立ち上げた漁師「喜久丸」の松本早人さん

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 熱海の土石流災害で被害を受けた伊豆山港の漁師が2月21日、港復旧のプロジェクトを立ち上げた。クラウドファンディング(以下CF)で支援を募集する。

水揚げされたサザエを取り上げる同じ伊豆山港の漁師・金子友一さん

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 昨年7月3日に発生した伊豆山の土石流災害で、港のすぐ横を流れる逢初川とその沿道を流れ下ってきた土砂とがれきで港全体が覆われた。港にあった詰所やトイレ、シャワー室などが大きく損傷し、使えない状態になった。漁師「喜久丸」の松本早人さんは「港の復旧も大切だが、発災直後は消防団として住民の人命最優先で動いた」と当時を振り返る。

 3月3日で災害の発生から8カ月たち、港の土砂は撤去されたが、まだ海底には流れ込んだ残土があり、港の機能は復旧していない。松本さんは伊豆山港から離れた熱海港から船を出さなければならない日が続いているという。

 伊豆山港を元に戻したい思いで、行政に何度も相談をして復興計画を話し合ってきたという松本さん。損壊したトイレとシャワー室は4月以降の公費解体が決まったが、再建に2,000万円程度の負担が算出された。国からの災害補助金で1,500万円、大熱海漁協からの寄付金で200万円を確保できたが、残りの金額を収入源が大きく減った数名の漁師で負担するには厳しい状況だという。

 今回のCFでは、伊豆山港復旧と復興事業資金を集める。目標金額は450万円で、現時点で約200人から250万円余りの寄付が集まっている。支援のコースを1,000円から用意し、リターンとしてオリジナルステッカー、伊豆山の海で獲れるサザエやイセエビを送る。松本さんは「伊豆山のサザエは本当においしいのでぜひ味わってほしい」と話す。

 祖父の代から伊豆山で漁師をしていた松本さんは3代目。生まれも育ちも伊豆山で、17歳から船に乗る。「祖父の代から受け継いできた大切な港。最低限でも元の状態に戻さないといけないという使命感で動いている」という松本さん。「CFの支援者からの応援のコメントが気持ちを後押ししてくれている。皆さんの言葉をしっかり受け止めて、復旧に向けて前に進んでいきたい」と言葉に力を込めた。

 クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で4月15日まで支援を求める。

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