アーティストがACAO SPA & RESORT(熱海市熱海)に滞在しながら制作した作品を鑑賞・体験するイベント「ACAO OPEN RESIDENCE #6」が4月29日、スタートする。
熱海の魅力をアートで再発見するプロジェクト「PROJECT ATAMI」の一環としてACAO SPA & RESORTと東方文化支援財団が2021年3月に始めたプログラム「ACAO ART RESIDENCE」では、アーティストが同館に1~2カ月間滞在して作品を制作。制作した作品を発表して来場者と交流を図る。制作活動をするための場所や制作費を負担し、アーティストの作品制作をサポートしている。
昨年度は20組のアーティストが同プログラムに参加し、作品を披露した。今年度も1年を4タームに分け、各ターム5組、合計20組のアーティストが熱海での制作に挑む。今年度第1タームのアーティストは3月から同館での活動を始めていて、完成した作品を今回のイベントでお披露目する。
映像とパフォーマンスを組み合わせたインスタレーションを制作する中村壮志さんは、旧ニューアカオ館のダンスホール全体を展示空間と見立てた作品を披露する。昨年同館で開かれたアートイベントで発表し大きな反響があったという「Standing Ovation 四肢の向かう先」は中村さんも参加した作品。今回は、「舞台上の依代(よりしろ)」をテーマに掲げて、日本の伝統文化「能」と熱海やACAOの象徴「松」を大画面のスクリーンに映す映像とダンサーのパフォーマンスで表現する。中村さんは「植物と人間の身体の新たな物語を表現したい」と話す。
同じく前回のアートイベントに参加し、市内の宿泊施設で作品「フィリピン海プレートに立っているということ」を披露した藤生恭平さんも今回のタームに加わる。熱海や伊豆を回って海岸線などをリサーチしたという藤生さん。今回は、「地球が釣れた」をテーマに、伊豆の地形をゲームボードに見立てた作品を制作して公開する。
同館のエントランスホールには、現代美術アーティストの藤倉麻子さんの作品を展示する。主に3DCGアニメーションの手法を用いた空間アートを展開する藤倉さん。今回は、観光地・熱海からイメージした「観光案内ベンチ」や3DCGアニメーションを映す「観光案内モニター」などを置いて空間を演出する。
アーティストの小金沢健人さんは、同館のメインダイニング錦や現在は使われていないゲームコーナーなどの空間を演出したインスタレーションを展開する。アートディレクターとして活動する高村佳典さんも、かつて同館で使われていたさまざまなデザインの椅子に着目したチェアコレクションを展開するなど、いずれも旧ニューアカオ館の独特な世界観を引き出すような作品を展示する。
併せて、ゴールデンウイーク期間には、サウンドアーティストの鈴木昭男さんとダンサーの宮北裕美さんによるパフォーマンス、食とアートの体験イベント、スタッフが館内の作品を案内して回る宿泊プランの提供などのアートイベントを用意する。
開催時間は11時~17時。入場料2,000円(中学生以下無料)。5月8日まで。