昭和の花街をイメージした「バー コマド」(熱海市中央町)が5月20日、熱海市役所近くにオープンする。
ライターやエディターとして活動する高須賀哲さんが開業する同店。高須賀さんは、趣味で全国の赤線や遊郭だった場所を見て回ったり、関連する書籍を集めたりしてきたという。今回の店舗は、築70年ほどの建物を生かし、昔の熱海の歓楽街・花街をイメージしたバーとして開業する。
建物は20年ほど手付かずの空き家だったが、高須賀さんが不動産会社から紹介されて初めて見学したとき「一目ぼれした」という。高須賀さんは「空き家になる前は、バーとして使われていたと聞く。店内の傷みは激しかったが、戦後の映画に出てきそうな昭和の華やかだった頃の熱海を彷彿とさせた」と振り返る。
劣化が著しい箇所は取り替えたが、刺しゅうの壁や低いカウンター、スイングドア、照明器具など、できる限りそのままの状態を残してリノベーション。「かつての温泉街らしい色気とどこか懐かしいエロチックな場所」をイメージした店に仕上げた。
店内には、高須賀さんが趣味で集めていたという昔の「エロチックな」雑誌や書籍、レトロなオブジェなどを並べて昭和にタイムスリップしたかのような演出を施す。熱海在住で女性を専門に描く画家・石川吾郎さんの作品を2カ月間の予定で展示。なまめかしい作品を楽しめ、展示する作品やポストカードの販売も行う。市内で活動するアロマコーディネーターに作ってもらったオリジナルのブレンドアロマの香りで「昭和の妖艶さ」を引き出した。ロゴやショップカードは、市内のデザイナーにレトロなマッチ箱をイメージして作ってもらったものを使う。
メニューは、ハイボールやカクテル、瓶ビールなどを500円からと手頃な価格で提供する。「若い人にも気軽に立ち寄ってもらえるように、できるだけ低価格に設定した」と高須賀さん。別途、チャージ代として500円がかかる。
今後について、高須賀さんは「地元の人、移住者、観光客らが自然に交ざり合う社交場にしたい」と話す。コマドという店名にも「熱海の内と外をつなぐ小窓のような存在になりたい」という思いを込めた。「自分も熱海に移住した頃、よく行く店でいろいろな人を紹介してもらった経験がある。ここも人と人とがつながる場所になれば」と期待を込める。
営業時間は18時~24時。水曜・土曜のみ営業(変動あり)。今後変更の予定あり。