熱海の干物店「釜鶴」(熱海市銀座町)が5月19日、富士保育園(東海岸町)で恒例の干物開き教室を開いた。
毎年アジのシーズンに、園児を対象として食育を目的に同店が続けている取り組み。今年で15年目となる今回の教室には、同園の年長組みの園児10人が参加した。三角巾とエプロン姿に身を包んだ園児は、釜鶴の二見一輝瑠社長の手を借りながら、真剣な表情でアジの開きに挑戦した。
初めに二見さんからアジの干物の作り方についてレクチャーを受けた園児は、この日の朝に網代漁港で水揚げされた体長約25センチのアジを一人一匹ずつ手に持ち、二見さんと一緒に包丁で開いた。園児からは「こわい」「エグい」という声が飛んだが、自分の番になると真剣な表情に変わり、丁寧に開いたアジを水の中で歯ブラシを使ってきれいに洗い、塩水に漬ける作業をこなした。干物は、自宅に持ち帰って家族と食べてもらうという。家族に向けた手紙も添える。
40分ほど塩水に漬けたアジを園庭に設けた干し台に並べた園児らは「上手にできた」「楽しかった」「持って帰ったらみんなで食べる」と口々に笑顔で話していた。
二見さんは「『いただきます』『ごちそうさま』の意味を食育として伝える教室。干物作りが、熱海の子どもたちに地元の名産品を知ってもらうことや、干物を食べることに慣れ親しんでもらうことにつながれば」と期待を込める。