熱海駅前のすし店「磯丸 平和通り店」(熱海市田原本町)が4月、配膳ロボットを導入した。熱海市内での配膳ロボットの導入は珍しい。
小型で小回りが利く配膳ロボット「KettyBot」(関連画像4枚)
導入したのは配膳ロボット「KettyBot(ケティボット)」で、店舗のDXを推進するUSENが導入をサポートした。小型店~中型店向けに設計されたロボットで、最小55センチの幅を走行する機動性と広告表示などに使う大型ディスプレーの搭載が特長。
導入の経緯について、稲本千恵店長は「熱海では珍しいのでお客さまが喜んでもらえると思ったのと、人手不足にもつながればと考えて導入した」と話す。現在は、客への料理の提供と空き皿の片付けのために使い、ホールスタッフの仕事を配膳ロボットが補う。
導入して1カ月ほどがたち、稲本さんは「効果がなければやめようと思っていたが、配膳ロボットを入れてとても良かった」と振り返る。客からは「かわいい」などと評判が良く、ロボットから流れる音楽で店が和やかな雰囲気になるという。導入前は、作業の効率化への期待はそれほど大きくなかったというが、「特にホールの人員が少ないときは、ロボットが作業する間にスタッフが他の仕事をすることができるので、効率の良い運営ができる。トラブルもなく、非常に便利。人件費と比べてもロボットの利用コストは低い」と話す。
熱海市内の宿泊施設や飲食店は、働く人手不足が長年の課題とされ、人件費の高騰も懸念されている。併せてコロナ禍でも多く訪れる観光客とスタッフとの感染リスクも心配される。既に、市内ではセルフオーダー端末やセルフレジなど省力化設備を導入する店は増えており、配膳ロボットの導入も少しずつ広がっている。
熱海市内では同店のほか、ファミリーレストランチェーンの「ガスト 網代店」(下多賀)、「ジョナサン 熱海サンビーチ店」(渚町)などで配膳ロボットが活躍している。
配膳ロボットの導入によって期待される効果について、USENの担当者は「人手不足の解消や配膳の効率化だけでなく、人にしかできないお客さまへのおもてなしにより多くの時間を割くことで、店舗全体のサービス品質向上や顧客満足度向上にもつながる。お客さまとの接触機会が必要最低限となり、感染リスクが低減するためコロナ禍でも安心して店を利用してもらえる」と話す。