熱海山口美術館(熱海市渚町)が12月18日、開館した。経営は山口文化財団(埼玉県さいたま市)。同館入り口に設置した、芸術家・岡本太郎の作品「河童神像」がSNSで話題になっていた。
同日行われた開館セレモニーには、宮田亮平文化庁長官、齊藤栄熱海市長らが登壇。同館の壁面などに展示したイルカのオブジェは宮田長官の作品。宮田長官は「財団の理事長、山口さんの企画にはいつも驚かされる。新たな美術館を世界に発信していけたら」と期待を込める。齊藤市長は「熱海は温泉が湧き、神社仏閣も多く、インスピレーションが湧く環境がある。若いアーティストが切磋琢磨(せっさたくま)していく美術館になってほしい」と期待を寄せる。
山口文化財団は、芸術文化活動、アーティスト支援を目的に、実業家の山口伸廣さんが2015(平成27)年に設立。人間国宝美術館(神奈川県湯河原町)を運営するほか、アーティスト発掘のための国際公募展「アートオリンピア」を開催している。
熱海山口美術館は、ルノワール、ピカソなど世界の名画から、村上隆、草間彌生などの現代作品まで約200点の作品をテーマごとに9つの小部屋で展示。各部屋には作品を解説するモニターを設置する。岡本太郎の作品「坐ることを拒否する椅子」には、実際に座る体験もできる。同館の保科豊巳館長は「イルカの目立つ外観と巨匠の作品展示だけでなく、プロのアーティストを育成し、熱海の名所にしていきたい」と意気込みを見せる。
世界で活躍できるアーティストを養成するため、来年4月から「グローバルアーティスト育成講座」の開講を予定している。芸術大学出身の講師陣らが指導に当たるという。山口理事長は開館の目的として、「日本のアーティストを応援するため、養成コースは無料で受講できるようにする。この熱海から第二の横山大観を輩出し、世界で活躍するアーティストを育成したい」と話す。
入館料は、一般=1,400円、高校・大学生=1,200円、中学生以下=500円。料金には、マグカップの絵付けとワンドリンクが付く。
営業時間は、9時30分~17時30分。