熱海でダイダイを生産加工する「シトライカンパニー」(熱海市西熱海1)とアロマ空間デザイナーらが4月25日、熱海市上多賀の畑でダイダイの花摘み体験会を開いた。
熱海特産ダイダイの活用法を探ろうと、昨年に続き開催した。シトライカンパニー代表で農家の岡野谷伸一郎さんは、ダイダイの皮を原料にした精油やダイダイ酢に野菜を漬け込んだピクルスの開発など、ダイダイの6次産業化に積極的に取り組んでいる。
今回、首都圏の飲食店関係者やアロマ開発事業者、地元の和菓子店経営者ら約30人が参加し、ダイダイ活用の意見交換をしたり交流を深めたりした。ダイダイの花の精油は「ネロリ」と呼ばれ、抽出できる割合が少ないため希少価値が高いという。香りの良さからアロマオイルや化粧品、香水などに使われる。参加者は、開いた白色の花びらをピンセットを使って丁寧に摘み取っていた。
挿し木による育成法開発の研究を進める静岡大学農学部の学生も参加。摘花が果実の成長や収穫量に及ぼす影響も調べていくという。
会を企画したアロマ空間デザイナーの深津恵さんは「ダイダイは、花が開くときの香りが魅力的で、香りの世界では憧れの香り。甘くりんとして力強さを感じるのが特徴。いろいろな業界の人に知ってもらって輪を広げることで、世界に向けてダイダイの魅力を発信していきたい」と話す。
岡野谷さんは「栽培を始めて5年目で、すでに自分の栽培するダイダイだけでは足りなくなってきている。ダイダイの活用が増えることで、他のダイダイ農家から事業者への供給も増えていけば」と期待を寄せる。