セミナー「熱海リノベーションまちづくり10周年イベント『熱海で暮らす』を考える」が10月17日、熱海市内で開かれた。主催はマチモリ不動産(熱海市銀座町)。
遊休不動産を活用した起業家育成や地域活性化を目指す取り組み「熱海リノベーションまちづくり」の始まりから10年を記念して開いた同イベント。2013(平成25)年に開かれた「リノベーションシンポジウム熱海」にも関わった「まめくらし」(東京都練馬区)社長の青木純さんを招いて開いた。市内の事業者を中心に約40人が参加して熱心に耳を傾けた。
熱海のリノベーションまちづくりを推進してきた「machimori(マチモリ)」(銀座町)社長の市来広一郎さんは「観光地・熱海という中において進めてきたリノベーションまちづくりを振り返るとともに、改めて『熱海で暮らす』ことにフォーカスを当てたい。青木さんの取り組みが参考になれば」と話す。
青木さんは、大家として運営する東京都練馬区のファミリー向けシェアハウス「青豆ハウス」を拠点とした周辺地域の活性化、南池袋公園など公共空間の日常づくりなどに取り組むほか、全国のリノベーションまちづくりの講師として活動する。
青木さんは「青豆ハウス」の取り組みを紹介しながら、「以前訪れた時の熱海と比べて観光客が増え、入れる飲食店がないほど。一方で、熱海は暮らしていくのに幸せな街になっているのか問いたい」と投げかけた。「自分は100年先の風景を守るために、幸せな日常を未来に受け継いでいくことを大切にしている。子どもたちに街を受け継いでいくために、熱海の資源を守りながら、暮らしている人が安心安全な街を目指してほしい」と話す。
「まちなかリビングのある日常」をテーマに掲げた池袋や南池袋公園のエリアリノベーションの取り組みも紹介。南池袋公園ににぎわいができたことで、行政や周辺の大手企業も巻き込みながら池袋全体にプロジェクトが波及しているという。青木さんは「熱海はにぎわいの量よりも体験の質を高めることが大事」とし、「社会の大きな流れは変えられないが、ここに集まった仲間が一緒に未来の身近な暮らしを考えていってほしい」と話した。
machimoriは今後、コロナ禍で活動が止まっていた「熱海リノベーションまちづくり」のイベントの再開を予定する。