「静岡県リノベーションまちづくり BootCamp(ブートキャンプ)報告会」が3月12日、オンラインで行われた。主催は静岡県で、企画・運営は「machimori」(熱海市銀座町)が手掛ける。
報告会は、1月19日・2月16日の2日間行われたブートキャンプのオンライン研修で作成したまちづくりの事業案を共有する場として開催。研修に参加した下田市、南伊豆町、焼津市、浜松市天竜区で活動する団体・企業が発表に臨んだ。ブートキャンプは昨年に続き2度目の開催。研修では、まちづくりのコンセプトや戦略策定、事業立案に取り組み、それを元に各チームで議論を重ねたという。
報告会の冒頭で、machimoriの市来広一郎社長が、熱海でのリノベーションまちづくりの事例や成果を共有した。リノベーションまちづくりの広がりと課題にも触れ、「ブートキャンプにより、互いに切磋琢磨(せっさたくま)して、これからリノベーションまちづくりに着手する人や、まだ事業が立ち上がっていない人の後押しをしたい。まちづくりのプレーヤーを生み育てていくことにつながれば」と参加者に呼び掛けた。
昨年のブートキャンプに参加し、伊豆稲取でリノベーションまちづくりに取り組む荒武優希さんも事例を紹介。荒武さんは2020年10月、空き家を改装して宿泊施設を開業。今年3月時点での稼働率が60%で推移しているという。宿泊客らにジオガイドによる地域の自然に触れるツアーを提供したり、2拠点目となる宿泊施設の開業を計画したりするなど、「土地のポテンシャルを上げて、地域のブランド向上に貢献したい」と精力的に取り組む。
今年参加した4団体もプレゼンテーションを行い、下田でまちづくりに取り組む「VILLAGE INC.」(下田市)は「下田の街、全体をキャンプ場に見立てたまちづくりを目指す」と意気込みを発表。空き家を、アウトドアをコンセプトにした拠点として再生することを計画しているという。南伊豆町で活動する「しもズブ」(下田市)の藤井瑛里奈さんは「自然が豊かな南伊豆の関係人口を増やす取り組みをして経済基盤作りに貢献したい」と説明する。具体的には、「地域密着型ワーケーション」を計画しているという。焼津市でまちづくりに取り組むのは、ウェブデザイン会社の渋谷太郎さんら3人のチーム。3年前からコワーキングスペースを運営し、今後は焼津駅前にクリエーターが集まり、チャレンジできる場所を空きビルを活用して計画している。クリエーター育成を目的にした子ども向けのスクールも予定しているという。浜松市天竜区でカフェ「山ノ舎」や駅舎ホテルなどを経営する中谷明史さんは、今後は自社の事業と他社の事業とを掛け合わせて、ワーケーションツアーなどの事業に発展していく計画を発表した。参加者や視聴者らは発表内容の感想を共有するなどして、リノベーションまちづくりへの理解を深めた。
静岡県が主導した「リノベーションまちづくり事業」におけるブートキャンプには、2年間で計7つの団体・企業が参加した。熱海ではmachimoriが熱海銀座商店街のリノベーションまちづくりに全国では先駆けて取り組み、空きテナント問題の解決、雇用増加、にぎわい創出に貢献したとして、全国のモデルと位置付けられている。市来さんは「今後熱海においては、銀座商店街だけでなく周辺の商店街まで広げたまちづくりの推進がテーマになってくる」と話す。