![展覧会「岩佐又兵衛 三大絵巻」](https://images.keizai.biz/atami_keizai/headline/1615756734_photo.jpg)
MOA美術館(熱海市桃山町)で3月12日、展覧会「岩佐又兵衛 三大絵巻」が始まった。「謎の絵師」とも称された岩佐又兵衛の代表作ともいえる作品に来館者は足を止めて見入っている。
今回の展示では、重要文化財「山中常盤物語絵巻」、重要文化財「浄瑠璃物語絵巻」、「堀江物語絵巻」の三絵巻を一堂に公開する。全巻の展示公開は初めてだという。各絵巻は12巻から成り、合計36巻を展示。見どころについて、同館学芸員は「山中常盤物語絵巻は、牛若が山中の宿で盗賊に殺された母常盤御前のあだを討つ筋書き。残酷なシーンもあるが、リアルに描くことで当時の人の心に刺さったと思われる。浄瑠璃物語絵巻は、牛若と浄瑠璃との恋愛を中心にした内容。金銀の顔料を使った鮮やかな豪華さも見もの。堀江物語絵巻は、月若が豪族間の紛争で非業の死を遂げた父母のあだ討ちを果たす物語。いずれも絵を楽しむだけでなく、物語になっており、分かりやすい解説文も付けているので、ストーリーも楽しんでもらえれば」と話す。
岩佐又兵衛勝以(1578年~1650年)は江戸時代初期の絵師。父は織田信長に仕えた戦国武将・荒木村重。京都で活動し、その後に移った福井で多くの作品を残したといわれる。「豊頬長頤の人物表現や和漢が混合した独特の画風で一世を風靡(ふうび)し、後の絵画に多大な影響を与えた。『浮世又兵衛』の異名を取り、浮世絵の祖、大津絵の祖とされ、謎の絵師ともいわれてきた」という。展覧会では三大絵巻に加え、岩佐又兵衛の自画像など貴重な重要文化財も展示する。
開館時間は9時30分~16時30分。木曜休館。観覧料は一般1,600円ほか。4月20日まで。