熱海の起雲閣(熱海市昭和町)で4月11日、「朗読とパーカッションの世界」と題した公演が行われる。俳優の原田大二郎さんと熱海在住のアーティスト、佐藤正治さんがタッグを組み、朗読と打楽器が共鳴し合う舞台を演出する。
原田さんが朗読する作品は、坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」。舞台や映画・テレビドラマ化された坂口安吾の代表作といわれる作品。山賊の男が美しく残酷な女と出会ったことで展開される世界観を描いている。公演では、作品の朗読に合わせて、打楽器奏者の佐藤さんがパーカッションで音を演出。見どころについて、原田さんは「小説の中には、首が転がるような残酷なシーンもあるが、坂口安吾がそれを描いた背景を知った時から嫌悪感が無くなった。作品からのメッセージにも注目してほしい」と話す。佐藤さんは「原田さんの声のエネルギーと、パーカッションの音のエネルギーの共鳴を感じてほしい。会話のように、音を即興で付けていく場面もある。1年間延期になった分、良いものになったので、楽しみにしてほしい」と笑顔で話す。
公演は昨年行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて延期となっていた。3月29日の神戸公演を皮切りに、全国5カ所をツアーで回る。ツアー中の4月5日に、原田さんは喜寿を迎える。「60代で朗読を始め、以前から『桜の森の満開の下』は朗読をしたいと思っていた作品。桜の季節、77歳の誕生日のタイミングで公演ができる。佐藤さんとは最初に会って話をした時から、同じような感覚を持っていると感じてきた」と原田さん。数年前に2人が「高瀬舟」の朗読をした時からタッグを組んでいるという。
原田さんは「昨年できなかった分、熱海の花火のように力強く打ち上げたい。隅々まで堪能してほしい」と意気込みを見せる。佐藤さんは「実際に住んでいて、土地への思いが強い熱海でできるのは幸せなこと。即興で音を奏でるシーンもあり、昼公演と夜公演で違う表現を楽しめる。朗読とパーカッションの響きを体感しに来てほしい」と来場を呼び掛ける。
開演は、昼の部=13時30分、夜の部=17時30分。前売り券=3,800円、当日券=4,300円、学生=3,000円。定員は各部30人。