熱海の食品卸会社「東明」(熱海市田原本町)が1月8日、昨年熱海梅園で収穫した梅の実を使った商品の販売を「熱海梅園梅まつり」の会場で始めた。
同社は、2006(平成18)年度から熱海梅園の梅の実を使った名産品を販売する。これまで、梅干しや和菓子などを考案し、熱海市内の土産物店や宿泊施設などで販売してきた。熱海梅園では昨年、1470キロの梅の実が収穫された。市の担当者によると、統計を取り始めた1986(昭和61)年以降で最多の収穫量だった。2019年、2020年と2年連続で裏年が続いたことと、気象条件が影響したことが考えられるという。5月から6月に行う収穫では、例年5日程度で済むが、昨年は9日間を要した。1470キロのうち、1144キロを同社が買い取り、商品の製造に充てた。
収穫量が多かったため、同社は新たに「ねりうめ」を開発した。梅肉から種を抜いてペースト状にした商品で、さまざまな料理に合うという。カップ入り80グラムで400円。このほか、昨年「熱海ブランド エープラス」にも認定された「熱海梅園梅干」(600円)、「梅ジャム」(698円)、「梅きんつば」「梅まんじゅう」(以上600円)、「梅あんドーナツ」(150円~)を販売する。「ねりうめ」は1月中旬以降に店頭に並ぶ予定だという。
同社の岸剛史専務によると、今シーズンの梅の実はこれまでよりも甘みが強いのが特徴だという。岸さんは「梅の糖度が高く、ジャムは通常の半分程度の砂糖の量で済んだ」と話す。「梅園の梅は観賞用なので粒の大きさがそろっていないが、梅干しはその分一袋でいろいろな食感を楽しめる。梅本来の味を楽しんでほしい」とも。
8日から販売を始めた熱海梅園内の売り場では、早速商品を購入する来園者の姿も見られた。岸さんは「昨年はいろいろな出来事があり熱海の観光産業は大変だった。熱海の特産品を使って熱海を元気づける商品を開発できた。熱海をPRする一助になれば」と話す。