熱海に民有林を整備して作った森林浴フィールド「ATAMI Green field with Kicollys & Marie」(熱海市紅葉ガ丘町)が4月23日、オープンした。
森林浴フィールドは、熱海の森林保全に取り組むNPO法人「熱海キコリーズ」が昨年5月に立ち上げたプロジェクト。頼朝ライン沿いにあるレストランカフェ「Marie’s Kitchen & Live Studio」の約60メートル下に、森林を整備して海を見渡すウッドデッキなどを造るもの。民有林は同カフェ店主の小島和雄さんが所有する。
熱海キコリーズは、昨年5月にクラウドファンディング(CF)でプロジェクトを立ち上げ、森林整備と森林浴フィールドを作る資金を募った。250万円の目標に対し360万円以上の支援が集まり、工事に着手。熱海キコリーズのメンバーや地元の大工らが中心となって整備を進め、約1年かけて完成にこぎ着けた。
ウッドデッキには、熱海・自然郷で出た間伐材を使用。間伐材を製材し、頼朝ラインの道路から架線を引いて搬入した。デッキの横には水場とトイレも整備した。デッキの前の森林を間伐したことで、熱海市街や相模灘を望む絶景も開けた。放置林を間伐することで太陽の光が地面に届き、鳥や昆虫が集まる生態系の回復も期待できるという。
23日は、CFの支援者や関係者を集めて内覧会を開いた。内覧会では、熱海キコリーズの間伐材プレートを皿として使っているフレンチレストラン「ル・プルースト ミウラ」(西熱海1)の料理を提供し、参加者らは森林浴と料理を楽しんだ。子どもと内覧会に参加した市内在住の前田有里さんは「キコリーズと知り合うまでは興味のない分野だったが、ワークショップに参加したことがきっかけで森林保全についてもっと知りたいと思うようになった。子どもたちには、この場所がこれからどのように変わっていくか見てもらいたい」と話した。
今後、ウッドデッキ周辺の整備を進める計画もあるという。小島さんは「気持ちの良い場所ができた。これが完成という状態はない。これからみんながいろいろな使い方をして、一緒に作っていくことができれば」と期待を込める。
熱海キコリーズ代表の能勢友歌さんは「みんなに使ってもらえるシーンを見ることができて夢みたい。ただテラスがあるだけでは意味がなく、森に人が入ることで森は元気になっていく。森林が生かされていることがうれしい」と話す。
同フィールドは今後、木工体験やミュージックライブなどのイベント、同カフェのピクニックボックスの食事場所などでの利用を予定しているという。