熱海に感染対策商品の販売や施工を手掛ける「あんしん工房」(熱海市清水町)がオープンして1カ月がたった。経営は、伊豆の国市で空調換気工事事業を展開する「凌勇興業」(伊豆の国市)。
空調ダクトや厨房ダクト、換気ダクトなどの空調換気工事会社として、創業15年目を迎える同社。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、空気感染の防止に自社が培ってきた換気工事の技術や経験を生かせないかと考え、同店開業を決意。「熱海市内でクラスターが発生し、これ以上の感染拡大を防ぎたい」という思いから、鈴木勇樹社長をはじめとするメンバーの出身地である熱海での開業にこぎ着けた。
同店は、事業所向けと一般客向け両方の商品を取り扱う。事業所向けには、空気清浄機や検温機、アクリル板パーティションなど、感染症拡大を防止するための商品を取りそろえる。一般客向けにはマスクやアルコールスプレーなどを販売するが、「どこにでも置いてある商品ではなく、おしゃれさと有効性を両立した商品をセレクトしている」と鈴木社長はこだわりを説明する。最近では、京都の織物メーカーが製造する「西陣織マスク」が人気だという。
熱海市では昨年10月、事業所向けに「熱海市新型コロナウイルス感染症予防対策費助成金」を始めた。市内事業者が対策に要する費用のうち、1事業所当たり上限5万円を補助するが、まだ助成金の利用は限定的だという。水口大輔部長は「店のコンセプトは、感染対策のアドバイスまで行うこと。家電量販店のように商品を置いて売るだけではなく、その事業所に合った対策設備をオーダーメードでも提供する。ただ価格が高いと二の足を踏んで対策が進まないので、薄利で行っている。せっかく行政が助成金の制度を出しても、熱海は高齢の事業者も多く、それを知らなかったり、面倒だったりして使われていないので、申請もサポートする」と話す。
鈴木社長は「当店の空気清浄機は光触媒を使った、量販店では販売していない清浄機を提供している。空調事業を長年やってきた当社だから取り扱うことができる商品もある。空気清浄機もアクリル板パーティションもデザインがおしゃれで、店に置いても違和感が無い。導入店からは、お客さまからも好評だという声を頂いている」と話す。金森和道店長は元熱海市議会議員でもあり、行政と市民、事業所との橋渡し役も担う。「行政、事業所、市民が協力して、熱海からは感染者を出さないようにサポートしていきたい」と意気込みを見せる。
今後について、水口部長は「まずは助成金の期限が3月末までなので、気軽に店に相談に来てほしい。観光地として、しっかり感染症対策を行いながら事業者が営業を続けていけるようにしたい」と話す。鈴木社長は「イベントを開催する時には、当店が感染防止のアドバイスをしながら対策設備のレンタルも行う。熱海全体で対策が進んで、安心して外出できるよう、行政と市民の間の歯車になっていけたら」と期待を込める。
営業時間は10時~17時。日曜定休。