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89歳の「女子高生」も 熱海で通信制高校サポート校の入学式

入学式で「新入生の言葉」を述べる小澤さん

入学式で「新入生の言葉」を述べる小澤さん

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 通信制高校サポート校「あたみ中央高等学院」「ゆがわら中央高等学院」の入学式が4月7日、熱海市内で行われた。10代の若者と共に89歳の小澤朝子さんを新入生として迎え入れた。

入学式で笑顔を見せる「女子高生」小澤朝子さん(関連画像4枚)

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 入学式には、3月で中学校を卒業したばかりの2人で15歳の落合慧二さん・青木月威さんと共に小澤さんも出席。「ゆがわら中央高等学院」に今年90歳を迎える「現役女子高生」として入学した。落合さんと青木さんは「あたみ中央高等学院」で新しい学校生活をスタートした。

 中国東北部の旧満州に生まれ、御殿場市で育ったという小澤さんは同市内の中学校を卒業後すぐに集団就職し、紡績工場で働き始めた。「貧しくて大変だった」と振り返る。母親の病気で工場を辞めてからは、看病に当たりながら飲食店や土産物店など仕事を転々としたという。結婚を機に23歳で湯河原に移り住み、現在まで過ごしてきた。高校進学のきっかけになったのは、両校の小倉高代学院長との出会い。小倉学院長が教える「スマホ講座」に参加した小澤さんは、見る見るうちにスマホの使い方をマスター。同じ高齢者に教えられるほど上達していったという。

 「学院長から、高齢者でも入れる高校があることを教えてもらい、誘われるがままに入学を決めた。勉強したいというよりは、好奇心だね」と笑顔を見せる小澤さん。75歳でマージャンを始めたのも好奇心で、のめり込み現在も続けているという。「年を取って困ることは、キョウヨウとキョウイクがないこと。キョウヨウがないとは、『今日、用事』がないこと。キョウイクがないとは、『今日、行くところ』がないこと。あした体がつぶれてもいいように目的を持って、今日何をするかを大切にしている」と話す。

 小澤さんら新入生3人は、週2回の通学や校外学習などを通してさまざまなことを学び、3年後の卒業を目指す。小倉学院長は「実りが多い3年間になるようサポートしていく。好きやこだわりを大切にして可能性の芽を育てていってほしい」と話す。

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